
公益財団法人日本生産性本部が公表した「労働生産性の国際比較2022」によると、2021年の日本の時間当たり労働生産性は、OECD(経済協力開発機構)に加盟する38か国中27位と、1970年以降で最も低い順位になりました。労働生産性の低さは、企業の営業活動についても例外ではなく、日本企業の営業における効率性が大きな課題となっています。 そこで今回は、営業担当者が抱えるさまざまな業務の効率化を支援し、生産性の向上を図る「営業支援」について、成功するためのポイントや効果的な方法、メリットを解説します。
営業支援とは? 本来の営業活動に注力できる環境をつくること
営業支援とは、営業担当者の業務から必要性の低い事務作業や会議の準備などの雑務を減らすことで、担当者の売り上げ拡大・成約率向上に直結するような本来の営業活動(コア業務)に注力できる環境をつくることをいいます。
営業支援の主な方法としては、営業事務やアシスタントによるサポート体制の整備、SFA・CRMといった営業管理ツールの導入などが挙げられます。
営業支援の目的
営業支援を行う目的には、主に次の3つが挙げられます。
- 営業コアタイム拡大のため
- 営業効率を向上させるため
- 従業員のモチベーションを向上させるため
それぞれ、具体的な例を挙げて解説します。
営業コアタイム拡大のため
企業の営業活動は、大きく「コア業務」と「ノンコア業務」の2つに分けられます。コア業務は利益や売り上げを生み出す業務のことで、商談や顧客とのコミュニケーション、契約など、売り上げの拡大に直結します。これに対してノンコア業務は、提案書や見積書などの書類作成、日報の作成、社内会議などの売り上げには直接結びつかない定型的な業務を指します。
営業支援の主な目的は、定型的なノンコア業務を効率化することで、「営業コアタイム」を増やすことです。営業コアタイムとは、営業担当者が直接顧客にアプローチする時間や、直接的に売り上げの向上につながる営業活動にかける時間のことです。営業担当者以外でもできる仕事をほかの従業員に割り振る、事務作業や会議をなくすなど、ノンコア業務の時間を削減し、顧客獲得につながるコア業務に時間を割くことで売り上げと利益の拡大につなげるのが、営業支援の大きな目的の一つです。
営業効率を向上させるため
営業効率を上げることも営業支援の目的の一つです。顧客情報の適切な管理やアプローチする顧客の絞り込みを行うことで、確度の高い顧客に、精度の高いアプローチを行うことができます。それにより無駄な訪問を減らすことにつながり、営業効率を向上させることが可能です。
従業員のモチベーションを向上させるため
従業員のモチベーション向上も、営業支援の目的です。ノンコア業務の負担が多く、十分な営業コアタイムが確保できない環境では、営業担当者にとって目標を達成するのが難しいかもしれません。余計なタスクを排除し、担当者が目標を達成できる環境を整えることで、モチベーションの向上につながります。
営業支援の具体的なメリット
営業支援を行うことで、企業にはさまざまなメリットがあります。主に、次の3つが挙げられます。
- 営業成果の向上と売り上げの増加
- 営業担当者の負担軽減
- 営業活動の標準化
それぞれ、詳しく解説します。
営業成果の向上と売り上げの増加
営業支援の最大のメリットは、営業成果の向上と売り上げの増加です。営業コアタイムの拡大によって、営業担当者が見込み顧客のニーズを把握し、最適な商談準備を整えるための時間を確保することができます。また、業務に余裕が生まれれば、既存顧客に対してもアップセル・クロスセルを狙った営業活動など、売り上げに直結する業務にかける時間が増え、営業成果の向上も期待できます。
営業担当者の負担軽減
営業担当者の負担を軽減できることも、営業支援のメリットです。営業担当者の負担になっているノンコア業務にかかる時間を減らすことで、その時間を取引先との商談にあてることができるかもしれません。営業担当者が案件対応に集中できる体制を整備できれば、受注率の向上につながる可能性があります。
営業活動の標準化
営業活動の標準化も、営業支援のメリットの一つです。営業活動に関する進捗状況や顧客情報の管理業務は、担当者のみで完結しやすい傾向があります。しかし、タスクの可視化や顧客のリスト化などを行えば、社内の複数の社員が取引内容について把握できるようになり、営業活動が属人化しにくくなります。
属人化を防ぐことで、営業担当者の休暇や部署異動、退職による担当者の変更があっても、スムーズに業務を引き継ぐことが可能になります。また、優秀な営業担当者の営業スキルやナレッジ・知見を共有することで、組織全体のパフォーマンスの底上げにつながるだけでなく、新人教育・人材育成などにも活用できます。
営業支援を行うための具体的な手順
ここでは、営業支援を実現するための具体的な手順について解説します。一例として、次のような手順が挙げられます。
- 営業活動の業務プロセスを可視化する
- 営業課題の洗い出しをする
- 具体的な改善策を決める
各手順を、順に説明します。
営業活動の業務プロセスを可視化する
営業活動の業務プロセスを可視化することで、今まで把握できていなかった問題点に気づき、業務を改善することが可能になります。業務の内容や流れが明確になれば、現場の従業員同士で共通の認識を持ってすり合わせをできるほか、業務の属人化を解消することにもつながります。
営業課題の洗い出しをする
次に、営業課題の洗い出しを行います。課題の洗い出しをすることで、担当者が営業活動により集中できるように、コアタイムを拡張する方法を検討します。
ここで重要なのは、可視化した営業プロセスを検証し、どのプロセスがノンコア業務として効率化できるかを探すことです。営業支援を導入することで、新たな無駄が生まれてしまうようでは本末転倒になってしまいます。どのプロセスをどのように改善すればコア業務に集中でき、売り上げの向上につながるかを精査することが大切です。
具体的な改善策を決める
次に、営業プロセスを検証して明確になった課題に対して、具体的な改善策を考えます。業務の改善アプローチは「なくす」「減らす」「変える」の順に考えます。業務をなくすことは、シンプルで効果も高いですが、それによる弊害もあわせて検討する必要があります。業務量を減らす場合は、不要な部分を思い切って減らすことが大切です。そして、なくすことも減らすこともできない業務は、方法や担当者を変えることで対処します。
営業支援を行う際の注意点
さまざまなメリットがある営業支援ですが、アプローチの仕方を間違えてしまうと効果を得られることはできません。営業支援の取り組みを行う上で、気をつけておきたいことは次のとおりです。
- 目標設定とKPIの策定を行う
- チーム全体で情報共有する
- 定期的な進捗確認とフィードバックを実施する
- 営業担当者の負担を減らすことを考える
- 営業支援の要件を関係者全体ですり合わせる
目標設定とKPIの策定を行う
営業支援を成功させるためには、目標の設定とKPI(重要業績評価指標)の策定がポイントです。KPIは、目標に対するプロセスを適切に評価するために設定されます。営業活動のKPIは、訪問回数、成約数、成約率などの数値目標を、日次・週次・月次など期間ごとに設定するのが一般的です。期間ごとにKPIの達成度を評価し、数値が悪い場合は改善策を実施します。
また、KPIを設定することにより、チームの進捗状況がわかりやすくなり、業務の的確な改善ができるほか、個人の目標も明確になるため、公平な評価基準をつくることが可能になります。
チーム全体で情報共有する
営業支援を成功させるためには、社内やチーム内、部署内などで情報を共有することが大切です。案件情報や顧客情報、トラブル、成功事例のほか、顧客との対応履歴や営業活動記録を組織内で共有・把握することで、営業情報を個人の営業活動に役立てながら情報の属人化を防ぎます。
また、営業プロセスを可視化・共有することで、仕事の結果だけでなくプロセスに対してもより適切な評価ができるようになります。共有した情報を検索できる状態にしておけば、過去のデータを探す時間も減り、業務をより効率化することにつながります。
定期的な進捗確認とフィードバックを実施する
営業支援では、売り上げの進捗管理を行うことが重要です。売り上げの進捗管理によって、経営戦略や売り上げ目標に基づいて営業活動の手順を考え、目標と現在の状況にどのくらいの差があるのか確認しながら、プロセスごとの結果を計測・分析することができるようになります。営業支援を成功させるためには、目標と現在のギャップを埋めるための戦略を考え、実践し、組織全体の行動を管理することが必要です。
営業担当者の負担を減らすことを考える
営業支援に取り組む上でまず考えるべきなのは、「営業担当者の負担を減らす」ことです。前述のとおり、営業支援を行うのは、営業担当者が取引先との商談など売上に結びつくコア業務に注力できるようにするためです。それを実現するためには、営業日報作成といった事務処理や会議などのノンコア業務を効率的に行える環境を整え、それら業務にかかる負担を減らさなければいけません。営業支援の実現に向けては、ITツールの導入や施策を検討することになりますが、営業担当者の負担を減らすことを念頭に置くことが大切です。
現在、営業支援に役立つITツールの多くは、スマートフォンなどマルチデバイスに対応しています。モバイル端末でITツールを活用することで、移動時間を利用して営業日報を作成できたり、会議の議事録をチェックできたりとノンコア業務の効率化を図ることが期待できます。ITツールやモバイル端末をうまく活用することで、営業担当者の負担軽減につなげられます。
営業支援の要件を関係者全体ですり合わせる
営業支援に取り組む上で、マネジメント層のみで要件を決めるのではなく、現場を含む関係者全体ですり合わせを行うことが大切です。マネジメント層の要望ばかりを反映してしまうと、本来の目的から逸脱してしまう場合があるためです。
例えば、マネジメント層でITツールを検討・導入し、現場の営業担当者に進捗状況等の情報入力を課すようなケースがあります。現場での情報入力が行われていれば、マネジメント層にとってうまく管理できているように見えるかもしれません。しかし、情報入力を行う営業担当者にとっては、入力作業によりコア業務にかけられる時間が減り、結果として生産性が低下してしまう恐れもあります。「業務効率化や売上向上」という営業支援の本来の目的が、「情報の入力」にすり替わったことから生じる悪い例といえます。
現場の業務実態を把握せず、管理面の強化のためだけにITツールを導入するのではなく、現場と具体的な課題・要望を共有し、関係者全体で納得感のある目的認識を持つことが大切です。
営業支援に役立つITツール
営業支援は、ITツールを活用することによって、情報の一元化や営業効率化などを実現することが可能です。具体的には、以下のツールを活用することで営業活動を効率化できます。
- SFA
- CRM
- MA
- 名刺管理サービス
SFA・CRM・MA
営業支援は、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)を導入することで、時間がかかる営業支援の見直しを短期間で実現し、効率良く行うことができます。また、ITツールを活用してマーケティング活動のプロセスを自動化するMA(マーケティングオートメーション)を導入すれば、顧客へのアプローチを自動化することも可能です。
SFAが「見込み顧客のクロージングを担当する営業の効率化」を目指すものであるのに対して、CRMは「顧客情報の共有による社内コラボレーションの強化」を目指します。また、MAは「見込み顧客の獲得、および育成を目的とするマーケティングの効率化」を目指すものであり、マーケティング活動を効率化することで、売り上げの拡大や収益性の向上につなげることができます。
| 主な業務範囲 | できること | 主な機能 | |
|---|---|---|---|
| SFA | 営業活動の支援 | ・営業活動のデータベース化 ・営業部門のプロセス全体の管理、効率化 ・データに基づく営業力強化 |
・顧客情報、案件情報、商談の進捗などの管理 ・営業担当者の活動管理 ・予実管理 ・レポート作成支援 |
| CRM | 顧客関係管理 | ・顧客情報の一元管理 ・顧客との関係の長期的な維持、良好な関係構築 |
・顧客情報管理 ・購入履歴、問い合わせ履歴の管理 ・アプローチ履歴の記録 |
| MA | マーケティング活動の自動化 | ・リード(見込み顧客)の獲得、育成 ・リードの興味関心の分析 ・アプローチの自動化 |
・Wweb上における顧客の行動分析 ・スコアリング ・メールの一斉送信 |
名刺管理サービス
企業の資産である名刺をデータ化し、社内で共有できるようにデータベース化するのが「名刺管理サービス」です。SFAやCRMと連携させ、名刺由来の顧客情報と営業活動を紐づけて活用することで、新たな顧客の創出につなげるなど、営業活動の効率化を図ることができます。
営業支援に名刺管理サービスを活用
名刺管理サービスは、取得した顧客の名刺情報をデータ化し、そのデータを一元管理することで、営業支援に活用できるサービスです。名刺管理サービスを活用してどのような営業支援ができるのか、具体的な例をご紹介します。
名刺情報を迅速にデータ化できる
名刺管理サービスでは、入手した名刺をスマートフォンアプリで撮影するか、スキャナーで画像化するとAIを用いたOCR(光学的文字認識)などの技術によってテキストデータに変換できます。名刺情報の入力や登録を手作業で行う場合に比べて作業にかかる時間を大幅に削減できるため、担当者の営業コアタイムを拡張することにつながります。
顧客情報の効率的な管理、社内共有ができる
名刺をスキャンしてデータ化したら、顧客リストとして共有できます。社内の人脈を可視化し共有することで、顧客へのアプローチの重複や漏れを防ぐことなどが可能になります。また、見込み案件の進捗を管理・共有できることや、商談前の関係づくりがきちんとできているかを確認できることも、名刺管理サービスによる営業支援の特長です。
活動履歴の記録などで営業活動を効率化できる
名刺管理サービスによっては、顧客と名刺交換した日や面会した日を記録するのに加えて、抱えている課題や困っていることなど、面会時に顧客が話していた内容を記録できる機能を搭載しているものもあります。そうした営業活動の履歴を名刺管理サービスに記録しておくことで、顧客へのアプローチ方法やアプローチのタイミング、提案内容の検討に生かすことができます。
営業支援の強化には「SKYPCE(スカイピース)」の活用が有効
営業活動に関連する多彩な機能を搭載する「SKYPCE(スカイピース)」は、企業の営業活動の支援に特化した名刺管理サービスです。日々の営業活動を記録することで見込み顧客との関係づくりをサポートする「営業活動記録」や、顧客にメールやメールマガジンを一斉送信できる「One to Oneメール送信」、顧客との話題づくりに活用できる「ニュース連携機能」など、「SKYPCE」には営業活動を効率化する機能が豊富にそろっています。
正確な名刺情報を「Salesforce」に自動反映してくれる機能も新たに追加されるなど、より利用しやすいサービスへ進化し続ける営業名刺管理「SKYPCE(スカイピース)」の活用をぜひご検討ください。
名刺管理 SKYPCEについてお問い合わせ
SKYPCE(スカイピース)の導入事例
【導入事例】ウェブスペース株式会社 様
導入前の課題
当初、デジタルマーケティングを推進していくには、その土台として顧客情報を集約したデータベースが必要だと考えていました。しかし、データベースを一から作るとなると、基幹システムとの連携などを行う必要があり、手間と時間がかかります。
また、これまでは、会場でいただいた名刺を営業事務が手作業でリスト化し、各営業担当に展開。その後、営業担当がリストを使って電話をかけたり、メールを送ったりしてアプローチしていました。
導入後の効果
「SKYPCE」を導入したことで、名刺情報を営業部全体で共有し、顧客との接点が集約されたデータベースとして活用できるようになりました。また、どこでお会いしたお客様なのかがひと目でわかるよう、例えば展示会で交換した名刺には展示会の名称をタグとして付与。タグで名刺を絞り込むこともできるので、必要な情報をすぐに探し出すことが可能です。
さらに「SKYPCE」導入後は、展示会でいただいた名刺をまとめてスキャンし、名刺データを活用して「SKYPCE」からご来場お礼メールを配信しています。
SKYPCE導入事例:「ウェブスペース株式会社 様」より一部抜粋
【導入事例】株式会社PKUTECH 様
導入前の課題
当社が「SKYPCE」を選んだ最大の理由は、UIのわかりやすさです。従来、当社では従業員それぞれが紙のまま名刺を管理していたため、名刺管理サービスを会社として導入するのは初めてのこと。そこで、従業員がつまずくことなく利用を始められるよう、使いやすさを重視してサービスを選定しました。
導入後の効果
「SKYPCE」で会社全体の名刺を共有したことによるメリットの一つが、お客様の組織を体系立てて意識できるようになった点です。お客様の組織図をWebサイトなどでチェックし、まだ名刺交換できていない部署や部門を洗い出すことで、次なるアプローチ先の参考にしています。自社とお客様との接点を可視化しておくことが、さらなる営業機会の拡大につながっています。また、各案件やお客様の社内担当者を探す際にも「SKYPCE」を活用中です。
SKYPCE導入事例:「株式会社PKUTECH 様」より一部抜粋
【導入事例】NECフィールディング株式会社 様
導入前の課題
当社は2022年に、名刺情報の社内共有や、「Salesforce」との情報連携による業務効率化などを目的に他社製の名刺管理ツールを導入。2025年にツールの契約更改を迎えたことをきっかけに、「SKYPCE」に移行しました。特に当社は、中央省庁など政府組織のお客様との取引も多く、システムを導入する際は、経済安全保障の観点からも一定のセキュリティが担保されていることが大切だと考えています
導入後の効果
システムの移行や導入の際には、「いかに活用を定着させるか」を苦慮することも珍しくありませんが、「SKYPCE」は直感的に操作できるので、すぐに活用が進みました。名刺のデータ化作業もすべて国内で行われる上、登録した名刺情報は日本国内のデータセンターで管理されるため、安心して使用できるサービスだと感じています。また、「SKYPCE」による情報連携の活性化により、営業活動のスピードアップや、同一顧客への重複アプローチの防止などの効果が見込まれます。そのほか、統合的な営業戦略の立案や、お客様への提案の品質向上が進むことにも期待しています。
SKYPCE導入事例:「NECフィールディング株式会社 様」より一部抜粋