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Sky株式会社

公開日2024.05.17更新日2024.07.18

顧客理解とは? 顧客のニーズや課題を把握・分析する方法を解説

著者:Sky株式会社

顧客理解とは? 顧客のニーズや課題を把握・分析する方法を解説

顧客理解は、マーケティング戦略を成功させるために不可欠な要素とされています。企業が自社の顧客について深く知ることにより、顧客視点に立った効果的な施策を打ち出すことが可能になります。しかし、顧客理解といっても、何から手をつければよいのか、具体的な方法がわからない方も多いかもしれません。この記事では、顧客理解の重要性のほか、理解を深める分析方法やフレームワークなどについて、詳しく解説します。

顧客理解とは、顧客の求めていることや課題を理解すること

顧客理解とは、企業が自社の商品やサービスを利用する顧客のニーズや行動、課題などを深く理解することです。単に顧客の属性や表面的なニーズを把握するだけではなく、顧客が抱える潜在的な課題や、さらに深層にある心理的な欲求(インサイト)まで理解することが重要です。

顧客理解を深めるためには、顧客の視点に立って考えなければなりません。顧客がどのような課題を抱え、商品やサービスを通じて何を得たいのか、どのような場面においてどのようなきっかけで購買を決めているのか、顧客の行動や考え方を詳細に分析することが必要です。この分析には、市場調査やデータ分析、顧客へのインタビューなど、さまざまな手法が用いられます。顧客理解を深めることで、企業は顧客が真に求める価値を提供できるようになります。また、さまざまな商品やサービスが世の中にあふれているなか、差別化を図るためにも顧客理解は欠かせません。

顧客理解を深める重要性

ビジネスにおいて顧客理解が重要である理由は多岐にわたります。まず、顧客理解はマーケティング戦略の軸となる要素です。顧客の潜在的なニーズや欲求を的確に捉えることで、効果的な商品開発やプロモーション活動が可能となります。また、顧客理解を深めることは、商品やサービスの開発に役立つだけでなく、既存の営業戦略の改善も促します。顧客データを活用し、購買行動や嗜好性を分析することで、より的確なマーケティング方法を選択することが可能になるためです。

さらに顧客理解は、マーケティングの4Pである「商品(Product)」「価格(Price)」「販促(Promotion)」「流通(Place)」すべてに影響を及ぼします。顧客の求める価値や経済的背景を理解することで、最適な商品設計や価格設定、効果的な販促施策、適切な流通チャネルの選択などにつながります。

顧客理解を深めるための分析方法

顧客理解を深めるための分析方法として、「顧客データの分析」「ユーザーインタビュー」「ユーザーアンケート」「自社の営業部門やカスタマーサポートへのヒアリング」「テストマーケティング」が挙げられます。ここでは、それぞれの方法について詳しく解説します。

顧客データの分析

顧客データの分析は、顧客理解を深めるための大切なステップです。SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)MA(マーケティングオートメーション)CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)ツールなどを活用しながら、既存顧客や見込み顧客の属性情報および行動データを収集し、一人ひとりの顧客を特定した上で分析します。

例えば小売りビジネスの場合、実店舗やECサイトの会員データ、購買データのほか、Webサイト・モバイルアプリ上の行動データなどを分析することで、顧客の嗜好性や購買パターンを詳細に把握することができます。顧客データの分析から得られた情報は、マーケティング戦略の立案や改善に役立てることができます。顧客セグメントごとの傾向を踏まえ、最適なアプローチを選択することで、顧客満足度の向上やビジネス成果の最大化につなげることが可能です。

ユーザーインタビュー

ユーザーインタビューは、特にBtoCビジネスを展開する企業において、顧客理解を深めるための定性的な分析手法の一つです。既存顧客やターゲット属性に近いユーザーから直接話を聞くことで、自社の商品やサービスに対する感想、ユーザーが抱える課題などを知ることができます。ユーザーインタビューに必要となるのは、インタビューの企画・設計や回答者のアサイン、インタビューの実施などです。これを自社で行う場合と、調査会社に依頼する方法があります。

インタビューでは、ユーザーの基本情報、情報収集手段、現状の課題、商品・サービスを選ぶポイント、自社商品・サービスへの印象などを質問します。既存顧客からは、利用後の評価を聞くことも忘れてはいけません。得られた情報を整理し、分析することで、優先度の高い課題や改善点が明らかになります。

ZoomやGoogle Meetといったビデオ会議ツールの普及により、ユーザーインタビューを行うハードルは下がっています。顧客の声を直接聞くことで得られる情報は、顧客ニーズの把握や商品・サービスの改善につながる貴重な情報源です。顧客の情報をアップデートするためにも、ユーザーインタビューは定期的に実施することが得策といえます。

ユーザーアンケート

自社商品やサービスのユーザーを対象にアンケートを実施することで、顧客ニーズや課題を理解する手掛かりになります。ユーザーインタビューと同様、ユーザーアンケートも自社で実施する場合と調査会社に委託する場合があり、目的と調査のボリュームに合わせて選定することが大切です。選択式の質問だけでなく、自由回答欄を設けることで顧客インサイトを把握しやすくなります。また、アンケートツールを活用することで、効率的にデータを収集・分析できます。

ただし、アンケートは定量的にユーザーの声を把握できる一方で、「なぜそう思うか」まで踏み込んだ理解をすることは困難です。アンケートと併せて、ユーザーインタビューなどの定性調査も実施することで、より深い顧客理解につながります。

自社の営業部門やカスタマーサポートへのヒアリング

営業部門やカスタマーサポートの担当者は、顧客との直接的な接点が多く、自社の中でも顧客に近い視点で意見や課題点を把握しています。受注・失注につながりやすい顧客の属性、受注・失注の決め手、顧客が抱えている課題、各営業プロセスにおける顧客の反応などをヒアリングすることで、顧客の実態を理解しやすくなります。一方、カスタマーサポートへのヒアリングでは、顧客からの問い合わせが多い項目、クレーム内容、商品やサービスを使用している顧客の反応などを聞くのがお勧めです。これらの情報は、顧客の課題やニーズを理解するために役立ちます。

営業部門とカスタマーサポートへのヒアリングと、ユーザーインタビューを併せて行うことで、顧客との認識の差も明らかになります。これらの情報を活用し、顧客視点に立った商品やサービスの開発・改善につなげることが重要です。

テストマーケティング

新商品・新サービスのテストマーケティングも、顧客理解を深めるための有効な方法です。テストマーケティングでは、正式リリース前に一部の顧客へ商品・サービスを先行して提供し、実際に使用した上でフィードバックをもらいます。これにより、顧客ニーズをより深く理解し、商品・サービスの改善につなげることができるほか、新商品・新サービスで、失敗するリスクを大幅に減らすことも可能です。

先行提供する顧客は、現行の商品やサービスを活用している、かつ協力的な顧客を選ぶことが重要です。テストマーケティングで得た感想は、「お客様の声」として利用することができます。また、本格展開する際に、顧客に商品・サービスの価値を伝えるマーケティングメッセージや導入効果の訴求、先行利用企業の事例としても活用することが可能です。テストマーケティングの実施は、顧客理解とマーケティング両方の効果を兼ね備えているといえます。

顧客理解に役立つフレームワーク

顧客理解に役立つフレームワークは多数ありますが、どのフレームワークを活用するのがよいのでしょうか。ここでは、代表的なフレームワークについてご紹介します。

カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップとは、ターゲットとなるユーザーが商品・サービスを認知してから購入・契約に至るまでの一連のプロセスを可視化したものです。ユーザー像(ペルソナ)を定義し、各フェーズにおけるユーザーの行動、感情、課題などを整理することで、それぞれの顧客に合った施策を考えやすくなります。カスタマージャーニーマップを作成する際は、まず認知から購入までのステップを書き出し、各接触ポイントでの顧客の体験を詳細に洗い出します。顧客がどのような行動をとるか、どのような感情を持つか、どのような課題を抱えるかなどの情報を整理し、施策を考えることが必要です。

カスタマージャーニーマップを活用することで、顧客体験を最適化するようなマーケティング施策が立案できるようになります。各フェーズに合わせたアプローチを行うことでユーザーの行動変容を促し、購入・契約まで導きます。

STP分析

STP分析は、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の3つのステップで構成された、マーケティング戦略を立案する際に用いられる重要なフレームワークです。

セグメンテーションで市場や顧客のニーズをグループ分けしたら、次にターゲティングで、セグメンテーションされた市場の中から、自社が重点的にアプローチすべき顧客層を選定します。最後にポジショニングで、選定したターゲット市場に対して、自社の商品やサービスがどのような価値を提供するのか、競合他社とどう差別化するのかを明確にします。STP分析を通じて顧客理解を深めることで、商品やサービスの開発、マーケティングメッセージの設計、チャネル戦略の立案など、あらゆるマーケティング活動を顧客視点で最適化することができます。

5W1H

5W1Hは、情報を整理し、問題を明確化するためのフレームワークです。「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰が)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」の6つの観点から事象を分析します。顧客理解においても5W1Hを活用することで、顧客の行動やニーズをより深く理解することができます。例えば、以下のような点を明らかにすることができます。

5W1Hによる顧客分析の要素

  • When:顧客がいつ商品やサービスを必要としているのか
  • Where:顧客がどこで商品やサービスを探し、購入するのか
  • Who:誰が商品やサービスを必要としているのか(ターゲット顧客)
  • What:顧客が求める商品やサービスの特徴や機能は何か
  • Why:顧客がその商品やサービスを必要とする理由や動機は何か
  • How:顧客がどのように商品やサービスを使用し、価値を感じているのか

これらの情報を収集・分析することで、顧客の行動パターンのほか、商品・サービスに対する期待や要望を明らかにすることが可能です。

RFM分析

RFM分析は、顧客の購買行動を理解し、効果的なマーケティング施策を打つための手法です。「Recency(最新購入日)」「Frequency(購買頻度)」「Monetary(購入金額)」の3つの指標を用いて、顧客をセグメント化します。最新購入日が近く、購買頻度が高く、購入金額が大きい顧客ほど、優良な顧客であると判断することが可能です。このRFM分析により、企業は顧客の購買行動を定量的に評価し、各セグメントに適したマーケティング施策を打つことができます。顧客のセグメントに応じて、特別な報酬やサービスの提供、購買を促進するキャンペーンの実施、離脱防止のための満足度調査といった施策が考えられます。

セグメンテーション分析

セグメンテーション分析は、顧客を属性や特徴に基づいてグループ化し、それぞれの特性を理解することで、効果的なマーケティング戦略を立案するための手法です。地理的変数によるセグメンテーションでは、地域や気候に基づいて顧客を分類します。これにより、地域や季節ごとの消費者の嗜好や需要を把握し、適切な商品の提供やプロモーションを行うことができます。

また、人口動態変数によるセグメンテーションでは、年齢、性別、家族構成、職業などの属性に基づいて顧客を分類します。これにより、ターゲットとする顧客層の特性を理解し、それぞれのセグメントに合わせたマーケティング戦略を立案することが可能です。セグメンテーション分析を行うことで、顧客の多様性を認識し、画一的なアプローチではなく、セグメントごとのニーズや嗜好に合わせた対応ができるようになります。

デシル分析

デシル分析は、顧客を購買金額に基づき10の段階(デシル)にランクづけし、各セグメントの購買行動を分析する手法です。顧客を購買金額の高い順に並べて全体を10等分し、各デシルの購入金額と全体に占める割合を算出することで、上位の顧客層がどのくらい売上に貢献しているかが明らかになります。そのため、売上に大きく貢献している優良顧客層を特定し、各セグメントが売上に与える影響の定量的な理解につながります。これにより、優良顧客層に焦点を当てたマーケティング施策を立案し、限られたリソースを価値の高い顧客セグメントに集中させることで、効率的に売上を拡大させることが可能です。

ただし、デシル分析を行う際は、分析期間の設定に注意が必要です。長期間のデータを使用すると、最近の購買行動が反映されない可能性が出てきます。適切な期間を設定した上で分析を行うことが重要です。

コホート分析

コホート分析は、共通の属性を持つ顧客を同じグループ(コホート)に分類し、そのグループの行動や特性を一定期間にわたって追跡・分析する手法です。この分析では、例えば、同じ時期に獲得した顧客や、同じ商品を購入した顧客などをコホートとして定義し、各コホートの行動パターンや変化を時系列で観察します。このような分析を行うことで、顧客のライフサイクルを理解し、顧客離反の予兆を早期に発見することができます。特にサブスクリプションビジネスやECサイトなどにおいては、顧客のリピート率や顧客生涯価値(LTV)が重要な指標となるため、コホート分析を用いて顧客の長期的な行動を理解し、適切な施策を講じることが大切です。

顧客分析に有効なツール

顧客分析を行うためには、日頃から顧客情報の収集や蓄積が欠かせません。ここでは、顧客情報の蓄積や活用に役立つツールについてご紹介します。

CRM

CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)は、顧客との関係性を管理・強化するための戦略、および、それを支援するツールのことです。CRMツールは、顧客データの一元管理、顧客とのコミュニケーション履歴の蓄積、マーケティングオートメーションなどの機能を通じて、顧客理解と長期的な関係構築に役立ちます。CRMを活用することで、顧客の属性、行動、嗜好などを詳細に把握し、一人ひとりに最適化されたアプローチをとることができます。また、顧客とのコミュニケーションを一元管理することで、顧客の問い合わせやフィードバックに迅速かつ適切に対応し、かつ一貫性のある顧客サポートを提供することが可能です。CRMツールは、顧客理解を深め、データに基づいた顧客中心のマーケティングを実現するための重要な基盤といえます。

SFA

SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)は、営業活動を効率化・最適化するための戦略および実行を支援するシステムのことです。SFAは、顧客データの管理、営業プロセスの標準化などの機能を通じて、営業チームの生産性向上と顧客理解の深化に役立ちます。SFAを活用することで、営業担当者は顧客情報を一元的に管理し、顧客とのやりとりや商談の進捗状況をリアルタイムで把握することができるほか、適切なタイミングでのフォローアップ、顧客ニーズに合わせたアプローチが可能です。

また、SFAは営業活動の分析にも活用できます。商談の勝率や営業サイクルの長さなどを分析することで、営業プロセスの改善点を特定し、より効果的な営業戦略を立案できます。営業担当者と顧客とのやりとりをSFAにデータとして蓄積することで、顧客の関心事項や課題、意思決定プロセスなどを把握しやすくなります。

名刺管理ツール

名刺管理ツールは、取得した名刺をデジタル化し、連絡先情報を一元管理するためのソフトウェアです。単なる名刺のデータ化にとどまらず、顧客データの整理・分析、営業活動の効率化など、さまざまな用途に活用できます。名刺管理ツールを通じて蓄積された顧客データを分析することで、顧客の属性や行動パターン、ニーズなどを多角的に把握することが可能です。これらの情報を活用し、顧客一人ひとりに対応したコミュニケーションやマーケティング施策を展開することで、顧客満足度の向上や信頼関係の強化につながります。

さらに、名刺管理ツールとCRM / SFAとの連携によって、営業活動から得られる顧客情報をマーケティングや顧客サポートにも活用し、一貫性のある顧客体験を提供することができるようになります。

顧客理解を深めるポイント

集めた情報や分析結果を有効に使うためには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。ここでは、顧客理解を深めるための情報活用のポイントについて解説します。

顧客視点に立つ

顧客視点に立つことは、マーケティング活動を行う上で重要なポイントです。企業目線のみで顧客を理解しようとしても、表面的で客観的な捉え方になってしまい、顧客の真のニーズや心情を把握することはできません。顧客を的確に理解するためには、顧客を取り巻く環境や背景を知り、顧客の行動を観察し、心情を分析することが大切です。顧客視点に立ち、顧客が置かれている環境が心情にどのような影響を及ぼし、どのような行動につながるのかを理解することで、実感を伴った顧客理解が可能となります。顧客の行動や判断を理解するために、実際に顧客になりきって検索をしてみたり、ペルソナを活用してみたりすることも重要なポイントです。企業は常に顧客視点を持ち、顧客の真のニーズを理解し、それに応える努力を続けることが求められています。

情報をチームで共有する

顧客理解を深めるためには、チームで情報を共有することも重要です。チーム内で顧客情報を共有することで顧客に関する知見や経験を集約し、より包括的な顧客像を構築できるようになります。営業、マーケティング、カスタマーサポートなど、顧客との接点がある部門の持つ情報を統合することで、チームメンバー全員が顧客の行動パターン、ニーズ、課題などをより深く理解し、一貫性のある顧客対応を効率良く提供できます。また、顧客の嗜好や過去のやりとりを把握することで、顧客一人ひとりに合ったサービスを提供することができるなど、顧客満足度の向上と業務効率の改善を同時に進めることが可能です。

顧客理解に有効な営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE(スカイピース)」

営業活動において、顧客理解は非常に重要です。顧客のニーズや課題を深く理解することで、適切なソリューションを提案し、信頼関係を構築することができます。

顧客理解を深めるためには、顧客情報を一元管理し、商談やサポートなどの履歴を蓄積できる名刺管理ツールが役立ちます。営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE(スカイピース)」を使えば、顧客情報の基になる名刺情報を素早くデータ化し、顧客データベースの構築と社内への共有が可能です。日々の営業活動を記録できる機能を備えているため、顧客の属性や行動パターン、商談などでヒアリングしたニーズなどを分析することで、一人ひとりに合わせたアプローチを提供でき、顧客満足度の向上と信頼関係の強化につながります。

自社のマーケティング戦略実現のために顧客理解を推進したいとお考えの方は、営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE」の導入をぜひご検討ください。

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