
名刺は、ビジネスシーンにおいて欠かせないツールです。かつては交換した名刺をファイルなどに入れて保管するのが一般的でしたが、その方法では名刺が増えるにつれて管理も大変になる上、同僚などとも共有しづらいという欠点があります。そこでお勧めしたいのが、名刺をスキャンして画像として取り込み、記載された名刺情報をテキストデータ化して、データベースとして管理・活用する方法です。必要な名刺情報をデータベース内で検索できるなど管理が楽になり、社内での共有や活用にもつなげやすくなります。本記事では名刺をスキャンする具体的な方法と、データ化するメリットや注意点について解説します。
名刺のデータ化とは?
名刺のデータ化とは、商談などで交換した「紙」の名刺に記載された情報をデジタル化し、PCなどで管理する手法です。紙の名刺と比べて、会社名や担当者名、連絡先などの情報を素早く検索して確認することが容易になり、ビジネスのさまざまな用途で活用しやすくなります。また、名刺がデータ化されることで、企業・組織内で広く共有したり、外出先からでも容易にアクセスできるようになり、営業活動の効率化にもつながります。データ化の方法は、人による手入力のほか、OCR(光学的文字認識)が使われるケースも多く、最近ではAI技術の進化により文字認識の精度が向上しており、名刺のデータ化に取り組む企業も多くなってきています。
名刺をスキャンしてデータ化するメリット
名刺をデータ化するメリットとは、どのようなものがあるのでしょうか。名刺をデータ化することによる4つのメリットをご紹介します。
必要な名刺情報をスピーディーに検索できる
アナログにはないデジタルのメリットは、必要な名刺情報をすぐに検索できることです。名刺を紙のままファイリングした状態では目当ての名刺を探すにもひと手間かかりますが、データ化しておけば名前や会社名、役職、メールアドレスなどを手掛かりに検索して、必要な情報をすぐに見つけられます。
名刺情報を社内で共有できる
名刺情報を社内で共有できることも、名刺をデータ化するメリットの一つです。紙の名刺はほかの人が同じ人と交換していない限り、社内には1枚しかないため、情報を共有する際は名刺を持っている人に依頼して情報をもらわなければなりません。そもそも、情報を知りたい人の名刺が、社内に存在していることに気づくことすらできないということも少なくありません。一方、名刺をデータ化しておけば、名刺管理アプリなどを通じて常時共有することが可能です。 営業活動などで交換した名刺であれば、名刺情報を共有することで、それまで営業担当者が個人で属人的に管理していた顧客との接点が可視化され、組織全体での営業力アップにつながる可能性があります。営業担当者以外のメンバーが顧客情報にアクセスできるようになれば、部署間での情報の共有が容易になり、営業の横展開やクロスセルなどの新たなビジネスチャンスの創出にもつながります。
名刺情報を活用して営業活動を効率化できる
名刺情報を営業活動に生かせることも、名刺をデータ化するメリットとして挙げられます。共用のデータベースなどで顧客情報を管理することで、組織での情報共有がスムーズになります。より効果的かつ迅速なアプローチができるようになり、会社の営業活動を効率化させることが可能です。
場所や時間を問わずどこでも情報を確認できる
名刺をデータ化することで、紙の名刺が手元になくても、PCやスマートフォンから名刺情報の確認が可能になります。営業職のように、出張や商談で外出する機会が多い職種でも、出先で名刺情報を手軽に確認することができます。また、名刺の保管場所に関係なく、どこに居ても名刺情報を確認できるようになるため、リモートワークを積極的に取り入れたい企業にもお勧めです。
名刺をスキャンする3つの方法
名刺をスキャンするには、いくつかの方法があります。まずは、スキャナーやスマートフォンアプリを使って自分でスキャンする方法や、スキャン代行業者に依頼する方法についてご紹介します。

スキャナーまたは複合機で読み込む
社内にスキャナー、またはスキャン機能を備えた複合機があれば、それを活用して名刺をデータ化することができます。最近では大量の名刺を素早くスキャンできる、名刺専用のスキャナーも登場しています。名刺を複数枚並べて一度にスキャンするタイプのほか、自動給紙装置を使って連続して名刺をスキャンするタイプもあり、いずれも短時間で大量のスキャン処理が可能です。スキャンされた名刺データは、OCR機能で文字情報が自動的に抽出され、検索が可能なテキストデータに変換されます。 スキャナーには、持ち運びが可能なハンディータイプもあり、かばんに入れて手軽に持ち運べるため、外出の機会が多い場合でもスムーズに名刺スキャンが行えます。業務上、大量の名刺のデータ化が定期的に発生する場合や、イベントなどで来場者と交換した名刺を効率的に整理したい場合などに便利な手法です。
スマートフォンアプリで読み込む
スマートフォンアプリで名刺をスキャンする方法もあります。カメラアプリの中には、名刺のような紙類を自動的に検出して周囲の不要な余白を削除したり、台形補正したりする機能を備えたものがあります。また、名刺管理アプリにも、名刺撮影用のカメラ機能が搭載されていることが一般的です。スキャナーなどの機材が手元になくても、手持ちのスマートフォンで名刺をスキャンしてデータ化できる点は、この手法の大きなメリットです。商談などが終了した直後に、その場ですぐに名刺をデータ化できるため、非常に効率的です。
スキャン代行業者に依頼する
過去に交換した大量の名刺をスキャンする際に利用したいのが、スキャン代行業者です。コストはかかりますが、時間や手間をかけずに大量の名刺をデータ化することが可能です。CSVファイル形式など、希望するフォーマットで納品してもらえるため、既存のデータベースにインポートしてすぐに実用化できます。初めて名刺管理サービスを導入する場合など、すでに社内に存在する大量の名刺を短期間で効率的にデータ化しなければならないケースでは、非常に有効な手法だといえます。法人向けの名刺管理ツールを提供するベンダーによっては、これらスキャン代行をサービスの一部として顧客に提供している場合もあります。
名刺をスキャン後にデータ化する4つの方法
名刺のデータ化は、ただスキャンするだけで作業が完了するわけではありません。名刺をスキャンすると画像やPDFファイルなどの形式で保存されますが、それだけでは名刺の検索ができず、前述のメリットを受けられません。名刺をスキャンした後は、次にご紹介する方法で名刺情報をテキストデータ化することにより、データベース内での管理や営業活動への活用ができるようになります。
名刺画像から自分で名刺情報を手入力する
スキャンした名刺をデータ化するには、名刺の画像を見ながら記載された情報を、手作業でMicrosoft ExcelやGoogleスプレッドシートなどに入力する方法があります。これらアプリケーションを利用することで、会社名、部署名、役職、連絡先などの必要項目のみをピックアップして管理したり、データの並べ替えやフィルタリングなどのカスタマイズがしやすいのが特長です。また、作業は手入力のため特別なスキルが必要なく、コストをかけずに誰でも対応できる点はメリットですが、名刺の枚数が多いとその分だけ時間がかかってしまう点、対応した人によって精度にばらつきが生まれてしまう可能性がある点がデメリットです。特に、名刺情報に含まれる顧客の連絡先などをDM発送やメールマガジンの配信などに活用する際には、間違いなく相手に届けられるように高い精度が求められるため、丁寧な対応が必要です。
OCRで名刺画像からテキストを読み込む
OCR(光学的文字認識)により名刺画像からテキストを読み込み、名刺をデータ化する方法もあります。OCRとは、画像認識技術などを活用して画像から文字を自動認識する方法です。市販されているOCRソフトウェアを購入するなどして、利用することができます。スキャンした名刺画像をアップロードするだけで文字情報を自動で入力できるので便利ですが、すべての文字を正確に認識できるとは限りません。利用するソフトウェアやサービスによって精度にばらつきがあることにも、注意が必要です。 また、最近ではAIを活用したOCRを組み込んだサービスも登場しており、これまでよりも高い精度で名刺をテキストデータ化できるようになってきています。利用するソフトウェア、サービスを選ぶ際には、このようなAI技術を採用しているかを判断材料の一つとして考慮するのもよいでしょう。
名刺管理サービスを利用してデータ化する
データ化した名刺情報を組織全体で管理する場合には、導入する名刺管理サービスが提供しているデータ化の仕組みを活用するのも一つの方法です。名刺管理サービスによって、OCRを活用したり、オペレーターが補正したりと、データ化の方法は異なりますが、多くのサービスではスキャナーやスマートフォンで名刺画像を読み込むだけで、名刺情報がデータ化され、自動でサービスに登録されます。 また、データ化した名刺情報を共有して社内の人脈を可視化したり、メールマーケティングなどの営業アプローチに活用することで、業務効率や生産性を向上させることができる点も、名刺管理サービスを利用する大きなメリットです。さらに、SFAやCRMなどのツールに名刺データを連携し、顧客情報管理や営業支援に活用できる機能を搭載しているサービスも存在します。
Google Keepを利用する
Googleが提供している多機能メモアプリの「Google Keep」でも、名刺をデータ化することができます。Google Keepでは、スマートフォンのカメラを使って名刺を撮影し、画像として保存することが可能です。また、テキスト抽出機能で名刺の文字情報を読み取り、テキストデータとしてノートに保存することもできます。タグやカテゴリ分けを活用して管理すれば、名刺データを素早く検索しやすくなります。ただし、Google Keepはあくまでメモの管理に特化したアプリなので、名刺管理に活用する場合には不十分に感じる部分も出てくる可能性があります。例えば、入力可能な文字数に制限がある点や、専用の名刺管理サービスに比べてOCRの精度が劣る点などは、使用する上で考慮しておく必要があるでしょう。
名刺をスキャンする際の注意点
名刺をスキャンしてデータ化する際に、気をつけなければならないポイントについてご紹介します。
スキャン済みの名刺の管理に注意
名刺の文字を誤認識してしまうなど、スキャンに失敗してしまうケースも少なくありません。そのため、データ化をしてもすぐには紙の名刺を破棄せず、一年に一回など、時期を決めて破棄することをお勧めします。また破棄する際は、シュレッダーで細かくするか、機密書類の処分をしてくれる業者に依頼するなど、個人情報が漏洩しないように適切な処理をする必要があります。
名刺の裏面も忘れずにスキャンする
名刺をスキャンする際に、裏面の情報を取り込み忘れないようにすることも大切です。裏面には、関連会社や支店の一覧、業務内容などが記載されているケースが多く、また、名刺を受け取った社員がメモを残している可能性もあります。そうした情報がビジネスチャンスにつながる可能性もあるため、しっかりとデータ化することが大切です。
名刺をデータ化し活用する際の注意点
名刺データは、名刺管理サービスで管理するのがお勧めです。ただし、名刺管理サービスやアプリを活用する上で、次のような点に注意が必要となります。
無料の名刺管理アプリは利用しない
名刺管理アプリには無料で使えるものもありますが、本格的に名刺のデータ化を進める際にはあまりお勧めできません。無料の名刺管理アプリはデータ化できる枚数や機能に制限があることが多いです。さらにセキュリティ対策が不十分なものもあり、情報漏洩につながりかねないため、十分な注意が必要です。
自社のスキャナーや複合機が使えるか確認する
会社のスキャナーや複合機で名刺をスキャンする場合は、名刺管理サービスに自動的にアップロードして文字認識まで行える連携機能が使えるかどうか事前に確認が必要です。対応スキャナーや複合機は、各サービスのWebサイトまたは問い合わせなどから確認できます。
オペレーターなどで読み込み精度を担保できるサービスを選ぶ
OCRによる自動認識だけでは、どうしてもすべてを正確にデータ化できないことがあります。しかし、データ化した名刺情報が正確でなければ、顧客情報として社内で共有し、営業活動に使うことはできません。そこでお勧めなのが、オペレーターが入力の補助を行っているサービスです。人の目でチェックすることで、データ化の精度を大きく高めることができます。
名刺のデータ化に役立つ名刺管理サービスの主な機能
有料の名刺管理サービスは、スキャン後の名刺をビジネスに活用するためのさまざまな機能を持っています。ここでは、その代表的な機能についてご紹介します。
名刺情報を一元管理し、社内に共有できる
データ化した名刺情報をツール内で一元管理し、簡単に社内で共有することが可能です。紙での名刺管理のように情報の保管場所が分散しないため、管理や営業活動への利用が容易になります。
名刺情報を社内外から検索・閲覧できる
名刺管理サービスに登録したデータは、社内からだけでなく社外からもアクセスが可能です。外出先でもスマートフォンやタブレット端末で名刺情報を検索したり閲覧したりできるので、営業活動の効率が上がります。
SFAなどほかのツールと連携できる
名刺管理サービスによっては、SFA(営業支援システム)など社内で導入している別のツールと連携が可能です。名刺データをほかのツールでも生かすことで、より効果的な営業活動を行うことができます。
イベント告知や年賀状メールなどの営業ツールに活用できる
顧客との関係づくりに欠かせないのが営業メールです。名刺管理サービスには、データ化した名刺情報を活用して、イベント告知や年賀状メールを一斉配信できる機能が搭載されています。
名刺管理サービスの選び方
名刺管理サービスを選ぶ際には、名刺を管理する目的をまず明確にする必要があります。新規営業について管理するのであれば「商談管理」、既存営業や顧客満足度の向上に向けた取り組みであれば「顧客管理」が主な目的となるでしょう。名刺に記載された情報は個人情報になるため、情報漏洩リスクに考慮して、セキュリティ対策がしっかりと整ったサービスかどうかもチェックする必要があります。サービスを提供する企業自体のセキュリティに対する取り組みについても確認しておくことをお勧めします。
また、名刺管理サービスの真価は、従業員がしっかりと名刺を登録して運用されてこそはじめて発揮されます。従業員が手軽に継続的に使えるかどうか、直感的な操作ができるかどうかも、サービス選びには重要です。加えて、登録した名刺データを営業活動やマーケティング戦略の一環として活用できる仕組みを持っているかも重要な要素だといえます。
効果的な営業活動をサポートする名刺管理の「SKYPCE(スカイピース)」
「SKYPCE(スカイピース)」は、スキャンした名刺情報を社内で一元管理し、効率的な営業活動に活用できる名刺管理サービスです。
データ化した名刺情報を「Salesforce」に連携する機能のほか、営業活動を記録して共有できる機能や、オンライン会議を通じて顧客との名刺交換を実施できるオンライン名刺交換機能、名刺登録されている顧客企業に関する最新のニュースを自動で表示するニュース機能、名刺データを基に顧客企業の組織図ツリーを自動作成する機能など、ビジネスにおける営業活動をサポートする機能を数多く備えています。
名刺をスキャンしてデータ化し、効果的な営業活動に生かしていきたいとお考えの際には、ぜひ名刺管理「SKYPCE」の導入をご検討ください。
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まとめ
ここまで、名刺をデータ化するメリットやデータ化する方法、名刺管理サービスの主な機能などについてご紹介しました。日々増えていく名刺をデータ化して管理することで、社内の情報共有が円滑になり、営業活動の効率化につなげることができます。ご紹介した注意点に気をつけながら、組織に合った方法で名刺のデータ化を進めてみてはいかがでしょうか。この記事の内容が少しでもお役に立てれば幸いです。