売上を管理することは、企業において重要な業務の一つです。売上管理と聞くと、経理部や経営者の担当分野だと思う方もいるかもしれません。しかし実際には、マーケティング担当や営業担当なども含め、全従業員に関わる内容だといえます。なぜなら売上管理は、今進めている施策が妥当なのかどうか、有効性はあるのかどうかを判断するために必要不可欠な業務だからです。とはいえ、実際には「どのように売上管理をすればいいのか?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。この記事では、売上管理の概要や目的のほか、売上管理に必要な項目・データ、効率的に売上管理するためのポイントについて解説します。
売上管理とは、売上目標達成のために売上金額を集計・分析すること
売上管理とは、売上目標を達成するために、現時点での売上金額を集計し、分析することです。「売上目標に対する達成度」や「原価率」などを明確にしながら、週単位や月単位、年単位などと期間を区切り、過去の実績と比較することで売上の傾向を分析していきます。また、全社的な売上管理はもちろん、業種・業態によっては「商品・サービス別」「営業部門別」「営業担当者別」「プロジェクト別」「地域別」など、細かく分類して売上を集計します。売上管理で傾向を多面的に分析することにより、事業の成長へとつなげていくことが可能です。
売上管理では、売上を集計して「売上管理表」を作成します。具体的には、顧客名や商品・サービス名、数量、単価など日々の売上情報を集めて、エクセルや任意のシステムなどに入力する方法が一般的です。売上管理表を作成することで、営業における課題や今後行うべき対策が見えてきます。
売上管理の目的
売上管理は、どのような目的で行うのでしょうか。売上管理を行う主な目的を、2つご紹介します。
営業戦略を具体化できるため
売上管理の目的の一つは、営業戦略を具体化することです。管理といっても、単に売上金額を集計してまとめるだけでは意味がありません。売上を多角的に分析し、具体的な営業戦略を立てることで、売上アップにつなげていく必要があります。例えば、担当者別に売上を管理することで、売上が伸び悩んでいる担当者に対して指示やアドバイスをすることが可能です。また、チームごとや部門ごとに売上管理をすれば、目標金額に対する達成度を把握したり、営業戦略を見直したりすることにつながります。営業戦略を具体化するためには、日々の売上管理が極めて重要です。
経営上の課題点を発見するきっかけになるため
売上管理は、経営の課題を発見するきっかけにもなります。売上が伸び悩んだり低下したりしている場合、売上管理データを過去から現在まで見直すことにより、課題がどこにあるかを発見できるかもしれません。
例えば、1年間の売上の変動を分析することで、月や季節による変化などの傾向をつかみ、増減の原因を特定します。また、商材別で売上管理をすれば、売れ筋の商材とあまり売れていない商材がはっきりわかります。その結果を基に、売れ行きの良くない商材の改良や新しい商材の開発、入れ替えなどが可能です。売上管理は、経営上の課題を発見してさらなる売上アップを狙うためにも重要性が高い業務といえます。
売上管理で必要な項目
売上管理にはどのような項目が必要になるのでしょうか。ここでは、売上管理に必要となる主な項目を5つご紹介します。
売上実績
売上実績とは、自社の商品・サービスを顧客に提供し、その対価として得た金額のことです。売上実績をデータとして入力する際は、売上金額に対して「商品・サービス名」「納品日時」「顧客名」などの情報をひもづけておく必要があります。売上実績のデータは課題の発見や分析に必要なため、売上管理の中では最も重要な数値といえます。
売上目標の達成率
売上目標の達成率とは、1か月や四半期、半期、1年など、一定の期間ごとに売上目標を設定し、その目標に対して現状どの程度達成できているのか、進捗状況をパーセンテージで表したものです。一般的に売上目標は、「これなら達成できるだろう」と予測できる数値よりも少し高めに設定します。売上目標の達成率が低い場合は、達成率を高めるための施策を検討し、実行します。達成率が予想に比べてかなり低い場合は、そもそも売上目標の設定が適切ではないかもしれません。必要に応じて、売上目標の数値を見直すことも大切です。
過去と比較した売上金額
過去の実績と比較した売上金額も、売上管理において必要なデータです。具体的には、前月および前期の売上金額と、当月および当期の売上金額を比較し、変動や比率を計算します。当月と前年同月の売上金額を比較するケースもあります。売上金額を過去の実績と比較することは、売上管理において重要です。なぜなら、「現在の施策は適正かどうか」「見直しが必要かどうか」などを判断する材料となるからです。数値が大きく減少している場合は、なるべく早めに原因を特定し、対応策を考えます。
仕入れ原価
仕入れ原価とは、商品・サービスの仕入れにかかる費用や、自社で製造や加工を行うための原材料費のことです。また、原価には原材料費などの変動費だけでなく、人件費などの固定費も含みます。仕入れ原価を売上金額から差し引くことにより、現状の粗利を計算します。仕入れ原価は、天候や社会的な要因の影響を受けて高騰することもあり、経営全体の状況を把握するためにも売上管理に必要な項目です。
予算の消化状況
予算の消化状況も、売上管理において必要な項目の一つです。予算には人件費や通信費、広告費などが含まれます。予算の消化状況を把握することで、「予算に見合った売上になっているかどうか」「当初の予定よりも多く予算が消化されていないかどうか」などの確認が可能です。予算の見直しが必要かどうか、予算消化のためにどのような対策を講じるべきかなど、経営戦略の策定にもつながります。
売上管理の具体的な方法
売上管理を実施する場合、どのような方法があるのでしょうか。具体的な方法を3つ解説します。
エクセルで売上管理表を作成する
売上管理を最も簡単に始められる方法が、エクセルによる売上管理表の作成です。エクセルは、ほとんどの企業ですでに利用されているため、初期費用を低く抑えて運用することができます。また、自社の業務内容に合わせて売上管理表のフォーマットを自由に作成できる点もメリットです。一方で、エクセルを使う場合は手作業での管理となるため、売上管理の項目が多いと入力作業に手間や時間がかかります。また、データの入力ミスや抜け漏れがないか、人の目で確認しなければならない点もデメリットといえます。
会計ソフトウェアで売上情報を管理する
会計ソフトウェアを活用して売上情報を管理する方法も、多くの企業で採用されています。会計ソフトウェアのメリットは、売上や支出などの数値を入力するだけで、自動集計によって実績管理が容易にできることです。前月比や前年同月比の表示のほか、商材ごとの売上推移をグラフ化するなど、基本的にはボタン1つで操作できます。一方で、会計ソフトウェアにはデメリットもあります。会計ソフトウェアには「クラウド型」「インストール型」の2種類がありますが、クラウド型の場合は、使用するために月払いや年払いなどで継続的な費用が発生します。また、インストール型の場合は、PCが故障するとデータが消失する可能性があるといったデメリットがあります。
SFA・CRMツールを活用する
近年増えているのが、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)ツールを活用して売上管理を行う方法です。どちらも売上入力や管理がしやすく、「案件別」「顧客別」「営業担当者別」などさまざまな切り口で集計、分析ができます。また、表やグラフを自動で作成できるので、スピーディーな経営判断にも役立ちます。ただし、SFAやCRMツールを導入する際には、一定のコストが必要です。また、最近ではさまざまなサービスがあるため、自社の業務内容に合ったシステムを選ぶのに労力がかかるかもしれません。
売上管理を効率的に行うポイント
売上管理ではさまざまな指標や数字を扱うため、最初は混乱してしまうかもしれません。そこで、売上管理を効率的に行うためのポイントを3つ解説します。
売上管理のテンプレートを準備する
初めに、売上管理の項目をまとめたテンプレートを作成し、準備しておくとスムーズです。テンプレートを利用すれば、入力すべきデータが明確になり、業務の効率化が図れます。また、「売上管理を担当する人が複数人いても、管理表が統一されているのでわかりやすい」「担当者が変更になってもあまり支障が生じず、効率的に作業を進められる」といったメリットもあります。
売上管理のルールを策定する
売上管理のルールを策定しておくことも、効率的に進める上で大切なポイントです。管理表には数字だけではなく、商品・サービスに関する情報や売上種別、顧客名、備考欄などさまざまな項目を入力します。ルールを明確にしておくことで、売上管理表に入力する際の効率が上がるだけでなく、誰が売上管理を行っても一定のクオリティーを保つことができます。
定期的に売上管理表を振り返る
売上管理表にデータを入力するだけでなく、定期的に内容を振り返ることも重要です。売上管理表によって現状を把握できれば、売上目標を達成するためのアクションや優先順位が見えてきます。売上が下がった場合も、施策の影響など内的要因によるものか、あるいは天候や社会情勢など外的要因によるものかなどを冷静に判断して、的確な経営戦略につなげられます。
SFAやCRMツールを最大限に生かす営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE(スカイピース)」
売上管理は、経営上の課題を発見したり営業戦略を具体化したりするために行う重要な業務です。売上管理にはさまざまな方法がありますが、中でも最近増えているのが、SFAやCRMツールなどを活用する方法です。これらのツールを活用すれば、売上の入力や管理、分析を効率的に行うことができます。
そして、SFAやCRMツールを最大限に生かすには、名刺管理ツールとの連携がお勧めです。中でも営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE(スカイピース)」は、スキャンした名刺をもとに顧客情報を顧客管理システム「Salesforce」に反映し、顧客ごとの売上や進捗管理をスムーズに行えるのが特長です。また、名刺にひもづく各営業担当者の活動状況を記録して社内に共有する機能や、顧客の名刺をもとに組織図ツリーを自動的に生成してくれる機能など、多彩な機能で営業活動をサポートし、お客様のビジネスの成長に貢献します。営業支援ツールを活用した効率的な売上管理で営業力の強化を考えている方は、「SKYPCE」の導入をご検討ください。