営業活動は企業にとって非常に重要ですが、さまざまな課題を抱えていることも少なくありません。それらの課題を解決するために、AIを活用するという方法があります。この記事では、一般的に挙げられる営業活動の課題や、そうした課題への解決策としてAIを活用した場合のメリットやデメリット、具体的な活用事例などをご紹介します。
一般的な営業課題
企業にとって、営業活動はとても重要です。営業活動をうまく進めることができれば、顧客満足度の向上や信頼関係の構築、市場シェアの拡大などが期待でき、最終的には企業の業績向上につながります。しかし、営業活動に多くの課題を抱え、そうした課題の解決に苦労している組織は少なくありません。
どのように課題を解決するのか考えるにあたり、まずは営業活動における課題にどのようなものがあるのかを把握しておく必要があります。ここでは、一般的によく挙げられる営業活動の課題についてご紹介します。
会社選定が難しい
営業活動においては、適切な会社を選定してアプローチすることが重要です。しかし、この選定が難しいと感じている企業は少なくありません。なぜなら、市場にはそれぞれニーズや特性が異なる数多くの企業が存在し、どの企業が自社の商品やサービスの顧客に適しているかを見極めるのが容易ではないからです。
また、競合他社も同じ市場で活動しているため、競争が激化している可能性もあります。効率的かつ効果的な営業活動をするためには、ターゲットとなる企業の選定基準を明確にすることや、顧客のニーズに応じた提案を行うことが重要です。
議事録の作成が大変
商談中に議事録を作成すると、後で見返して内容を振り返ったり、メンバー間で共有したりするなどの活用ができます。しかし実際の商談では、お客様に対して提案やヒアリングをする必要があり、その場で逐一議事録を残すことは現実的ではありません。
また、商談の内容が複雑で多岐にわたる場合、すべてのポイントをもれなく記録するのは困難です。仮に商談を録音して後で文書化しようとしても、ほかのメンバーと共有することを考えると、語弊のないように明確で簡潔な文章にまとめるスキルが必要となります。加えて、議事録を作成するという行為そのものに時間がかかるため、本来やるべき別の業務の時間を取りづらくなってしまいます。
営業の進捗状況が不明
マネージャーやチームリーダーなどに多いのが、営業案件の進捗状況がわかりづらいという課題です。進捗状況が把握できないと、営業活動の現状や課題を正確に理解することができず、適切な対策を講じることが難しくなります。
特に営業が属人化している組織では、案件管理が各営業担当者の裁量に任されてしまい、どの案件がどのフェーズまで進んでいるのかを把握できません。これにより、リソースの最適な配分ができず、営業効率が低下し、売上予測や目標達成の見込みも立てにくくなります。結果として、知らないうちにトラブルが起きたり、失注したりするリスクが高まり、企業の業績にも悪影響を及ぼす可能性があります。
営業情報が散在している
営業情報が企業内で散在していると、営業活動の効率を大きく損なう要因となります。例えば、同じ顧客情報が重複して登録されていたり、営業担当者ごとに異なる形式のファイルで情報を管理している状況では、営業担当者は必要なデータを探すために多くの時間を費やすことになります。
その結果、顧客対応や新規開拓といった営業活動に割ける時間が減少してしまいます。また、情報が複数の場所に分散していると、最新の情報をチーム間で共有できず、同じ顧客に複数の営業担当者がアプローチしてしまうといった問題にもつながります。
案件情報の入力
案件情報の入力は、営業活動における重要な業務の一つですが、手間のかかる作業でもあります。案件情報に含まれるのは、顧客の基本情報や商談の進捗状況、次のアクションプランなどです。これらの情報を正確かつタイムリーに入力することで、チーム全体が最新の状況を把握し、適切な対応を取ることができるようになります。
しかし、入力項目が多すぎたり、ルールが細かすぎたりすると、入力作業に時間がかかるほか、情報の入力漏れが起きる原因にもなります。また、高機能のSFA(営業支援システム)などを導入した場合には、機能が多すぎて使いこなせず、逆効果になってしまうこともあります。
営業にAIを活用するメリット
近年は、ビジネスの現場でAIを活用するケースが増えており、営業活動においても導入が進みつつあります。一般的に、AIを活用することで生産性向上や人件費削減といったメリットがあるとされています。
しかし、具体的にAIをどのような場面で使い、どのような効果が得られるのかを把握していなければ、うまく活用することはできません。ここでは、営業活動におけるAIの活用方法や、活用した際のメリットについて説明します。
単純作業を任せられる
営業活動における単純作業は、AIにより自動化させることができます。自動化できる単純作業として、例えば顧客情報の入力や更新、定型的なメールの送信、スケジュール管理など、営業担当が日常的に行っているルーティンワークが挙げられます。
これらの作業を自動化すれば、営業担当者は顧客との対話や戦略的な営業活動など、より重要な業務に時間を割くことができるようになり、結果として業務効率の向上に結びつけることができます。
顧客エンゲージメントの強化
AIは、企業と顧客との信頼関係、つまり顧客エンゲージメントの強化に役立てることができます。例えば、顧客とのやりとりやチャットボットの利用者アンケートなどを、AIに分析させるといった活用例が考えられます。
そのような活用をすることで、営業担当者は顧客のニーズや好みを把握し、顧客にパーソナライズされた提案を行うことができるため、結果的に顧客エンゲージメントの強化につながります。顧客エンゲージメントを高めることで、顧客が自社の商品をリピート購入したり、好意的な口コミを流してくれたりといった効果も期待できます。
データドリブンな営業活動
AIを活用することで、データを基にした営業戦略を立てることができます。AIは大量のデータを高速で分析できるため、顧客の行動パターンや市場のトレンドを予測するのに役立ちます。これにより、営業担当者はより的確なターゲティングやアプローチを行うことができ、営業の成果を最大化することにつなげられます。
また、リアルタイムでデータを更新することで、迅速な意思決定が可能となり、競争力の向上も期待できます。さらに、営業成績が良い従業員の電話やメール、商談内容をAIで分析し、成果が出る営業手法をチーム全体で共有することで、組織の営業力の底上げに役立てることもできます。
営業にAIを活用するデメリット
営業活動でAIを活用するメリットは、前述のとおりです。しかし、膨大なデータを学習するというAIの特性上、情報セキュリティやプライバシーには注意する必要があります。また、AIが必ずしも正確で適切な分析結果を導くというわけではないということも、留意しなければいけません。ここでは、営業活動でAIを活用する場合のデメリットや、それを補うための対策について説明します。
セキュリティやプライバシー
AIは、膨大なデータを学習して傾向やパターンを読み取り、判断や予測を行います。そのため、AIに個人情報や機密情報を入力してしまうと、その一部が回答として流出してしまう恐れがあります。それが原因で、企業の信用失墜や法的問題に発展することも考えられます。
また、データの透明性は顧客との信頼関係の維持にもかかわるため、AIを活用する際は、データをどのように収集、処理、保護するのかを顧客に開示する必要があります。営業活動でAIを活用する場合は、すべての担当者がセキュリティやプライバシーに関するリスクを把握し、AI を適切かつ効果的に活用するためのリテラシーを身につけることが必要となります。
AIの分析の正確性
AIの分析結果は、必ずしも正確なものとは限りません。分析結果は入力されているデータに依存するため、データに誤った情報が含まれていたり、偏った内容のデータや古いデータが大量にあったりした場合、正確な分析結果が得られないことがあります。
分析結果として誤った情報が出てきた際、それを基に営業戦略を立ててもまったく成果につながらない、といったことが起きる可能性もあります。そのため、AI をデータ分析に活用する場合には、質の高いデータを継続的に収集し、蓄積していく体制を整えることが大事です。
営業課題に対するAI活用事例
前述のとおり、AIを活用する際のメリットやデメリットを把握しておくことで、AIを営業活動に活用することができます。具体的にどのように活用すればよいか、名刺情報を例に活用方法を紹介します。
AIを活用して名刺情報を即座に取得
AIを活用して名刺情報をすぐに取り出せるようになると、営業活動の効率化につながります。例えば、デジタル化された名刺情報は、外出先でもスマートフォンやタブレット端末を使って確認できます。顧客を訪問する際には、担当者の現在の肩書を素早くチェックできるほか、名刺情報を基に自動で収集された顧客に関するニュース記事や、最新のトピック、経営状況などを確認することも可能です。
また、AIの活用で簡易なレポートを生成すれば、より効率良く顧客情報を把握できます。さらに、「2年前ぐらいに会った、大阪の企業の女性で、名前に“浜”がついている人」といった曖昧な記憶であっても、AIであればすぐに該当する名刺情報を特定することができます。
加えて、デジタル化された名刺情報は、顧客の属性や行動パターンをAIに分析させるための貴重なデータにもなります。名刺情報を営業活動のデータ分析に役立てることで、営業戦略の立案やターゲット顧客の特定が容易になり、より効果的な営業活動につなげられます。
名刺情報の取得だけでなく、登録時にもAIを活用できます。名刺情報をデジタル化するには、紙の名刺に記載された文字をデジタルデータに変換するOCR(光学的文字認識)技術の活用が有効ですが、この技術にAIを組み合わせることで、文字認識の精度が飛躍的に向上します。
AIは、機械学習やディープラーニングを通じて、文字の補正や認識精度を高められるため、手書き文字や複雑なレイアウトの名刺でも、高い精度でデータ化できるようになり、登録作業のさらなる効率化が可能です。
まとめ
ここまで、営業活動にはさまざまな課題があることや、その課題を解決するためにAIの活用が有効であること、AIを営業活動に活用するとどのようなメリットがあるかなど、詳しくご紹介してきました。特に、事例として挙げた名刺管理へのAI活用は、営業活動の効率化に大きな効果が期待できます。
今後、AIを営業活動に活用していくためにも、まずは「SKYPCE」などの名刺管理サービスを導入し、紙の名刺をデータ化して管理しておくのがお勧めです。
名刺管理サービスなら「SKYPCE」
営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE」は、取引先で受け取った紙の名刺を、スキャナーで取り込んだりスマートフォンのカメラで撮影したりするだけで、名刺情報としてデータ化し、一元管理できるサービスです。取り込んだ名刺情報は、組織全体で共有して活用できます。
また、「一斉メール配信」「活動記録」「ニュースメディア連携」など、マーケティングや営業活動に役立つさまざまな機能を搭載。SFAやCRMなどのツールと連携して名刺情報を活用することもできます。
「SKYPCE」は、Sky株式会社がこれまでの商品開発で培った「使いやすさ」と、ほかの自社開発商品との連携による「セキュリティ」で、便利かつ安全な顧客情報管理を実現しています。社内にある名刺を有効活用するために、ぜひ「SKYPCE」の導入をご検討ください。