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Sky株式会社

名刺情報リストの精度が
DM・メールを活用した営業戦略の確度を決める

著者:Sky株式会社

名刺情報リストの精度が<br>DM・メールを活用した営業戦略の確度を決める

DM(ダイレクトメール)やメール、電話で顧客と直接コミュニケーションを取るダイレクトマーケティング で営業活動の効果を高めるにはどういった工夫が必要なのでしょうか? 今回は、株式会社電通ダイレクト の末次 一子 氏に、名刺情報を活用した効果的なアプローチの方法などについて伺いました。

末次 一子 氏

株式会社電通ダイレクト
ダイレクトビジネス室
ダイレクトビジネス部長
CRMコンサルティングディレクター
DMA公認ファンダメンタルマーケター

末次 一子 氏

事業主と専業代理店、両方の立場でダイレクトマーケティングに20年以上従事。通販事業主にてコールセンター・戦略・DBマーケティング7年、電通ダイレクトにて、アクイジション、DBマーケティング、複数の通販事業立ち上げを経て現在CRM領域におけるコンサルティングを担当。大手メーカーの健康食品・通販事業立ち上げから15年以上携わり300万人以上の顧客を育成。また、メーカー化粧品通販の事業改善を行い全ブランドの顧客育成を担う。

リードタイムが長いBtoBでは
ターゲットに合わせた戦略が重要

BtoBとBtoCには購買に至るまでにどんな違いがありますか?

多くの違いがあります。例えば、BtoCでは消費者個人もしくはご家族の意思によって購入が決定されるため、購入を検討する期間は即時から数日の間と、BtoBに比べて短くなります。商品の良さのほか価格も重要な要因ですが、購買心理の占める割合が多く、衝動買いも起こりやすいと言えます。

一方、BtoBでは組織で購入の意思決定が行われるため、購入までの意思決定者が複数人存在します。また、部署での意思決定でよいのか、経営層の判断まで求められるのかといったことも商材によって異なります。加えてキーパーソンとの関係を構築した上で、交渉相手のニーズに合わせて柔軟に説得する必要があります。

このように購入決定までの経路が複雑なため、意思決定にかかるリードタイムも数か月、1年と長い期間を要することが特徴です。

BtoBではどのようにターゲットにアプローチしていくのですか?

図1は、BtoBマーケティングの基本モデルです。この図のように「不確定見込客」を「顧客」へと育成していくには、目的に合わせてさまざまなアクティビティを組み合わせて実行していく必要があります。

具体的にいうと、まずはディスプレイ広告や展示会などで、リードを創出・獲得。DM、セミナー、テレマーケティングなどでアプローチして確度を高めた上で、インサイドセールスなどを行います。このように顧客育成を進めていくためには、ターゲットに合った戦略やカスタマージャーニーを事前に設定しておくことが不可欠です。

カスタマージャーニーの設定には、ターゲットの業種に加え、リストのボリューム数や、意思決定者が経営層なのか特定の部署なのか、組織の中で誰がキーパーソンなのかといった情報が重要になります。

例えば、ターゲットにしたい業種に対して、営業に活用できる1,000社のリストを保有している場合、プロモーションの戦略としては直接電話したり、訪問やオンライン商談したりするのも有効な手段です。

しかし、保有するリストが10万社に及ぶような場合には、そういった対応は難しいでしょう。

その際はDMやメールなどを活用することになりますが、意思決定者が経営層である場合、DMを送ったとしても本人の手元に届くまでには秘書などの「門番」を通過しなければなりません。

そこを突破するための“工夫”も必要になります。このように、ターゲットに合わせた戦略は欠かせないものです。

予算・決裁権・必要性・導入時期の
情報を営業リストに付与する

確度の高い営業戦略を立てるには、ターゲットの詳細な情報が重要なのですね。

そうです。BtoBにおいては、特に「予算(Budget)」「決裁権(Authority)」「必要性(Needs)」「導入時期(Timeframe)」というBANT情報が重要だといわれています。営業リストにこれらの情報が付与されていれば、リストの精度は格段に上がり、確度が高そうな組織から低い組織まで、段階に合わせた営業戦略を立てることが可能です。

またDM、メールなどでターゲットに直接アプローチする施策において、そのレスポンスに影響する要素には「ターゲット」「オファー」「タイミング」「クリエイティブ」の4つがあります。これら4つの要素の重要度の割合は、ターゲット50%、オファー20%、タイミング20%、クリエイティブ10%であるという「5:2:2:1の法則」といわれています。

タイミングやDMのクリエイティブ面ももちろん重要ではありますが、最も大切なのは「誰に」アプローチするかということです。つまり、ターゲットの分析が欠かせないのです。繰り返しになりますが、その分析のためには、営業リストにいかに質の高いBANT情報を付与できるかが大切になってきます。

BANT情報を基にアプローチの手法を変えていけばよいのですね。

そうですね。アプローチにはさまざまな手法がありますが、その中でもメールは低いコストで、ターゲットとタイムリーにコミュニケーションが取れる方法です。例えば、ホワイトペーパーがダウンロードされたとき、すぐにお礼と併せてセミナーの案内を送れば、興味関心が高い相手に即時にアプローチできます。さらにメールを介してアンケートに答えてもらい、より詳しいBANT情報を取得することも可能です。

そのほか、DXが進んでいない業界においては、依然としてFAXが効果的というケースもあります。また、BANT情報からある程度の予算があり、確度が高そうな状況であることがわかれば、すぐに電話や訪問など直接的なアプローチをしてもよいと思います。

そのほかのチャネルについても特徴を教えてください。

特に高いコンバージョン率を誇るのが、DMです。コストは高いですが、直接届くインパクトに加え、さまざまな仕様や形状、掲載できる情報量の多さで、サービスに対する理解促進や購入への納得感を醸成できるツールです。

実際に、「DMメディア実態調査2022」に基づいて作成されたグラフ図2では、消費者調査ではありますがDMとメール(メルマガ)の閲読状況に関して、DMが届くと「ほとんど開封して目を通す」が50%であり、一部を除きどの性別・年代別においても、無条件での高い開封率を見込めます。

そのほかにも、DMにQRコードを記載してホワイトペーパーのダウンロードやWebサイトへ誘導したり、アンケートへの協力を促したりするなど、媒体をまたいだリレーションの力も強いと思います。

先ほど経営層にアプローチする際に「門番」を通過する“工夫”が必要だとお伝えしました。例えばターゲットである経営層向けに、ブランドコンセプトが伝わるようなグッズを用意し、セミナーの案内状を併せて送れば、目に留まり開封してもらえる可能性が高まります。ノベルティを同封することで強い認知を得たり、体験価値を高めたりしやすいのがDMの強みです。

メールを活用したアプローチの場合、効果を高めるにはどうすればよいのですか?

メールでのアプローチには、Webサイトへ遷移させて、セミナーへの申し込みやホワイトペーパーのダウンロードなどにつなげていく狙いがあります。例えば、メールをきっかけにセミナーに参加してもらい、アンケートを通じて新たなBANT情報が得られれば、確度の高さを精査して今後の対応を検討していくことができます。

獲得の効果を高めるためにまずは、開封率、クリック率、コンバージョン率などの各指標を分析することが必要です。その中の開封率は、見込み度を測る際の材料の一つとしても有効です。メールを開封してくれるということは、興味関心があるということです。もし開封率が低いという課題があるならば、件名や配信時間などを変更したABテストを行うといったように、導線上のどこがボトルネックになっているのかを見つけ出した上で、改善していきます。

名刺情報を営業リストに活用して
ターゲットに直接アプローチ

SKYPCEには名刺交換した企業の役員に関する情報を表示する機能が追加されました。

役員情報を確認できるようになれば、経営層にアプローチする際に役立つと思います。図3

この機能を使えばキーパーソンに関する重要な情報が常に鮮度高くアップロードされるので、例えば新たに担当になった役職者に対して、まずは自社の最新サービスを知ってもらえるように働きかけるなど、タイムリーにアプローチすることも可能になるのではないでしょうか。

では、名刺情報を活用するメリットにはどんなことがありますか?

名刺情報は、個人にコンタクトを取れる情報が記載されているため、それらを基にして営業リストを作成すれば、ターゲットとなる個人に直接アプローチすることが可能です。名刺管理サービスの中には、名刺情報にBANT情報を記録していけるものもあり、適切なタイミングや手法でアプローチしていくことができます。また、名刺を持っているということは、過去に直接接点を持った相手であるため、DMやメールの閲読率が高いことが考えられます。

逆に、名刺情報を持っていない場合はどのようにリストを作成するのがよいでしょうか?

自社で営業リストを用意できない場合は、企業データベースを扱う会社から業種や部署を絞り自社のサービスに合ったリストを購入することがあります。

しかし、販売されているリストは、企業の部署名までしかわからないことが多く、その場合、部署宛てにDMを送ることになるため、キーパーソンの手元に届かない可能性が高まります。個人に直接アプローチするために、名刺情報を基に営業リストを作成することが理想ですが、自社で接点のない企業にも、幅広くアプローチしたい場合にはリストの購入も有効だと思います。

購入したリストを活用する場合でも、あらかじめターゲットとなる部署宛てにメールやFAXを送った後、「ご覧いただけましたか?」とフォローコールを入れるなど、何かきっかけをつくった上でアプローチする方が営業担当者は動きやすいと思います。

とても理解が深まりました。SKYPCEには名刺を保有していない企業も含めて幅広く企業情報を検索できる機能あります。

こういった機能があれば、自社でキーパーソンの異動や人事情報といったタイムリーな状況が把握できる価値の高いリストを作成できます。

SKYPCEのように150万社を超える企業情報が閲覧でき、業種や規模などで検索して絞り込めることは、より精度の高いリストの作成に役立つと感じます。

組織で蓄積・共有した名刺情報の活用と併せて、このような機能を使っていけば、効率的にターゲットにアプローチしていけるのではないでしょうか。

※ 「企業データベース連携」機能の詳細についてはこちらをご覧ください。

最後に、御社のサービスについてお聞かせください。

BtoBマーケティングにおける解決策は、企業によって大きく異なるため、それぞれの事業課題に合わせた解決力がとても重要になります。電通ダイレクトでは、オンライン・オフライン両方を統合した戦略立案から、広告やセミナーの実施を通じて不確定見込客の獲得、コールセンターや営業チームを用意してクロージングまでを一気通貫でご支援することが可能です。

また、スタートアップ企業から大企業までさまざまな規模・業種に対するご支援実績があり、各社の事業課題に合わせた解決策をご提案できます。貴社の事業拡大に課題があると感じたら、ぜひお問い合わせください。

(「SKYPCE NEWS Vol.18」 2025年06月掲載 / 2025年2月取材)

SKYPCE コラムサイト編集部

SKYPCE コラムサイト編集部は、名刺管理をベースにした営業やマーケティングの施策のほか、営業DXや業務効率化などの各種取り組みに役立つ情報を発信しています。
「SKYPCE」を開発・販売するSky株式会社には、ITストラテジスト、プロジェクトマネージャ、ソリューションアーキテクト、JDLA Deep Learning for GENERAL / ENGINEERなどの資格取得者が多数在籍しています。それらの知見をもとに、名刺の管理効率化だけではなく、より戦略的に活用範囲を広げた「名刺によるDXの実現」を目指しています。