SKYPCEの「AI音声検索」機能の搭載に向け、モデル選定や非機能要件、データ・プライバシー、安全性、UX・説明責任の5つの観点から検討した内容を解説。精度、コスト、セキュリティのバランスを整理した記事。
1. はじめに
SKYPCE では、顧客管理をより快適にするための AI 機能として、以下の機能を提供しています。
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AI アドバイザー
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AI 音声検索
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活動記録の要約
本記事では、「AI 音声検索」を実現するにあたり、AI 機能を商品へ搭載する上で私たちがどのような点を検討したのかをご紹介します。
AI 機能は「動けばよい」というものではなく、精度・コスト・プライバシー・安全性・ユーザー体験などの様々な検討事項がありますので、その内容について整理しました。
2. 検討事項の概要
AI 音声検索の搭載にあたって検討した項目を、以下の 5 つの観点で整理しました。
| 検討事項 | 概要 |
|---|---|
| モデル選定・実証検証 | 自社開発か API 利用かの方針決定と、複数のモデル候補を評価して採用モデルを決定するための検証。 |
| 非機能要件 | レイテンシ/スループットといった応答性能、および利用に伴うコスト・課金方式の検討。 |
| データ・プライバシー | 音声に含まれ得る個人情報の取り扱い、学習利用の可否、ユーザーへの明示と利用可否設定。 |
| 安全性・信頼性 | ハルシネーション(誤情報生成)対策やプロンプトインジェクションへの対策。 |
| UX・説明責任 | AI を利用していることの明示や、検索候補が複数存在する場合のユーザーへの説明。 |
3. 検討結果について
「2. 検討事項の概要」で挙げた各検討事項について、実際に検討した結果を以下にまとめます。
3-1. モデル選定・実証検証
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自社開発(独自 LLM)か/API 利用(マネージド LLM)か
- 音声テキストの解析には汎用的な言語理解能力が求められますが、マネージド LLM はその用途に十分な品質を備えており、独自モデルを用意するコストに見合うだけの優位性は低いと判断したため、API 利用(マネージド LLM) を採用しています。
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モデル候補の機能適合検証
- 複数のモデル候補を評価対象とし、精度・再現性・誤応答の偏りを計測しました。 AI 音声検索では、意図した相手を取りこぼさないこと(再現性)を重視しつつ、実際の利用シーンに最も適合するモデルを採用モデルとして決定しています。
3-2. 非機能要件
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レイテンシ/スループット
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候補モデルごとにレイテンシとスループットを計測し、機能として求められる非機能要件を満たすか検証しました。
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結果に応じて、応答方式を 同期/ストリーミング のどちらにするかを検討。 今回は音声テキストを扱うという特性から、同期応答を採用しています。
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コスト
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機能利用に伴うコストを試算し、機能のクォータ(利用上限)や課金方式を検討しました。
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既存の顧客検索機能の利用状況も参考に、想定コストを算出しています。
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機能搭載のタイミングでは 従量課金は採用せず、機能として利用回数のクォータを用意する方針としました。
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利用状況はユーザーによって日単位・週単位で偏る可能性があるため、上限はテナント全体に対する月単位で設定します。
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制限値は、「ユーザー数 × ユーザー 1 人あたりの月間想定利用回数」を基準に算出しています。
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3-3. データ・プライバシー
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AI 機能の利用可否設定
- *ライセンス単位(テナント全体)*での有効/無効に加え、ユーザーごとの権限でも有効/無効を切り替えられるようにしました。
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学習利用の無効化
- 音声には個人情報が含まれる可能性があるため、入力データの学習利用は無効としています。
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利用規約での明記
- 音声テキストの解析に AI を使用していることを、商品の利用規約に明記しています。
3-4. 安全性・信頼性
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ハルシネーション対策
- システムプロンプト内で例示データなどをきちんと定義することで、事実に基づかない応答(ハルシネーション)の発生を緩和しています。
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プロンプトインジェクション対策
- システムプロンプトを保護する仕組みを設けることで、外部からの意図しない指示の混入に対応しています。
3-5. UX・説明責任
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AI 利用の明示
- 画面上に、音声から起こしたテキストを AI を利用して解析する旨を表示します。
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複数候補が存在する場合の明示
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音声テキストの解析結果から検索対象候補が複数存在する場合、その都度ユーザーに選択を求めると音声入力のメリットを損なうため、操作のシームレス性を優先し、内部の優先度に沿って検索対象を自動決定します。
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その際、画面上で「複数候補の中から決定した」旨をユーザーにアナウンスすることで、自動決定の透明性を確保しています。
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4. おわりに
AI 音声検索の搭載を通じて、商品に AI 機能を組み込む上で意識した点を、あらためて簡潔にまとめます。
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モデルは「試して選ぶ」:モデル候補を精度・再現性・誤応答の観点で実際に評価し(特に再現性を重視)、実利用に適したマネージド LLM を採用する。
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性能とコストを事前に見積もる:レイテンシ/スループットを計測し応答方式を決め、既存機能の実績からコストを試算してクォータ方式で制御する。
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プライバシーは既定で守る:学習利用は無効化。 機能利用はテナント/ユーザー単位で利用可否を選べるようにする。 また、利用規約にもAI利用を明示する。
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安全性を設計に織り込む:ハルシネーションとプロンプトインジェクションへの対策をあらかじめ組み込む。
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AI であることを隠さない:AI を利用して解析することや、複数候補からの自動決定を、ユーザーにきちんと伝える。
AI 機能は、精度だけでなく コスト・プライバシー・安全性・説明責任 まで含めて総合的に検討する必要があります。 SKYPCE では今後もこうした観点を大切にしながら、AI 機能の拡充を進めてまいります。
