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Sky株式会社

公開日2024.02.05更新日2024.03.29

業務改善提案書の書き方や目的、作成のコツをテンプレートと併せて解説

著者:Sky株式会社

業務改善提案書の書き方や目的、作成のコツをテンプレートと併せて解説

業務改善提案書は、業務を進めるなかで生まれた課題点を改善するための提案をする際に作成します。この記事では、業務改善提案書の概要や記述すべき項目、作成するコツ、改善策を考える際のポイントなどをご紹介します。提案書を作成する際にそのまま使用できるテンプレートもご用意しているので、ぜひ最後までご覧ください。

業務改善提案書とは

業務改善提案書とは、社内で業務を行う際に生じた課題などについて改善提案をするための書類を指します。業務改善提案では、主に「不要な業務が生じている」「現在のリソースでは対応が難しい業務量や納期」「従業員ごとの業務量の差」などの課題が挙げられます。提案書を作成する際は、改善策を述べるだけではなく、現場の状況や、改善策を実行するにあたって考えられるリスクも併せて説明し、提案する相手にとってわかりやすい書き方であるかも意識します。業務改善提案書は、一般的にはA4サイズで1枚程度の形式で作成されますが、課題や提案内容によって異なります。

なお、提案書と似たような意味合いで「企画書」が使われることも多いですが、企画書は提案内容を実行に移すための計画まで具体的に落とし込んだものを指します。

業務改善提案書の目的

業務改善提案書は、業務における課題と改善の必要性、具体的な改善策を共有し、実行に移すための決定を促すことが目的です。例えば、業務の属人化の解消や残業の削減、業務プロセスやスケジュールの見直し、ツール導入による業務効率化などが改善策として挙げられます。特定の従業員しかできない業務の存在や、人手不足による残業の慢性化、業務を進めるにあたっての不要な作業のほか、社内で古いツールを利用していて最新のものに比べて性能が劣っているなど、業務に支障が出る課題だけでなく普段感じている何気ない不満に対しても、業務改善提案は行えます。業務改善提案書は、現状の業務に対して改善が必要であることを経営層などの読み手に認識させ、改善策の実行を決定させることがゴールです。

活用できる業種や業界

業務改善提案書は、業種や業界、バックオフィス、フロントオフィスを問わずさまざまなビジネスの場で活用できます。基本的なフォーマットは、どの業種においてもほぼ共通のものを活用できますが、現在行っている業務などに合わせてカスタマイズすることをお勧めします。

誰が作成するべきか

業務改善提案書は、実際に現場で業務を遂行している担当者が起点となるのが理想です。管理者やマネージャーからのトップダウンで作成するケースもありますが、実際に業務を担当しているメンバーが声を上げることで、改善提案が実行に移りやすくなる傾向があります。そのため提案書も、できる限り現場担当者が作成することをお勧めします。

業務改善提案書に記述すべき項目

業務改善提案書には、次のような項目を記述するのが一般的です。職種や業務内容によって、必要な項目をつけ足したり、減らしたりするとよいでしょう。

タイトル、基本情報

最初に、提案する日付と提案者の名前を記述します。専用の窓口などを介して提案書を提出する場合は、最終的に届けたい提出先や担当者の名前も記述してください。

タイトルは、ある程度提案したいことの趣旨が把握できる内容を心掛けます。例えば、「〇〇業務の効率化による業務改善のご提案」といったように、提案内容の概要をタイトルでできる限り伝えることで、読み手が前提を把握した上で読み進められます。

改善提案の概要

次に、提案書全体の内容を大まかに記述します。このとき、5W1Hを意識することで、簡潔に概要を伝えることができます。業務改善提案書における5W1Hは、それぞれ次の内容を指します。

When(いつ) いつから行うのか、どのくらいの期間で行うのか
Where(どこで) 業務改善を行う対象の部署やチームなど
Who(誰が) 対象となる従業員
What(何を) 対象となる業務内容
Why(なぜ) 業務改善を提案する背景
How(どのように) 改善のためのアプローチ内容

現状

現在どのような状況で業務にあたっているのかを具体的に記述します。経営層など、提案書の読み手が業務内容に対して深く理解していない可能性がある場合は、特に業務内容や担当作業について詳細に記述する必要があります。また、現状を記述する際は、担当人数や案件数、期間、工数などをなるべく数字を使って定量的に表します。このように記述することで、読み手が現場の状況をイメージしやすくなり、認識のずれを防げます。

課題点

改善対象の業務で起こっている課題点やトラブルなどを記述します。課題点を記述する際も、数字や図を使って具体的に示すことが重要です。例えば、「ミスが生じている」だけではなく「〇日間で〇件ミスが生じている」と表したり、表やグラフを用いたりすることで、課題点の説得力が増します。改善提案を行う際は、できる限り現状を定量化できるよう事前に数値を把握したり、分析したりしておくことが大切です。

改善策

具体的な業務改善策を記述します。記述する際は、まず改善策の全体像を示します。期間を分けて段階的にアプローチする際は、施策の内容を時系列で記述することがポイントです。そして、事前に説明した課題点に対して、「記述した内容で改善可能である」と読み手がイメージできるように伝えることを意識します。また、改善策では「〇〇をしたい」という個人の希望を述べるのではなく、課題点に対して最も実行に移しやすく、合理的な方法を述べることも意識します。

改善策の実施により得られる効果

ここでは、「先述した課題点が改善策によって解決すること」が理解できる内容を記述します。業務改善提案書の目的は課題の改善を促すことであるため、改善策のみに焦点を当てたメリットを記述してしまわないよう注意が必要です。また、改善策の実施によって得られる効果を記述する際も、数値などで定量的に示すことでさらに説得力が増します。正確な数値を出すのが難しい場合は、「〇〇を実施することで、残業時間の〇〇%の減少が見込める」といった仮説段階の記載でも構いません。

必要な費用やリソース

施策を実行するにあたり、どのくらいの費用やリソースが必要かを記述します。特に経営層は費用対効果を考えて、提案内容を実行に移すかどうか判断します。また、システム導入費や物品の購入費だけではなく、施策の実行にかかわる従業員の工数についても明記することが大切です。正確な費用を把握するのが難しい場合は、概算でも構いません。提案内容が承認されるかは、費用も重要な判断材料となるため、あらかじめ細かく記述しておくことをお勧めします。

必要な期間

施策を実行するにあたって必要な期間を記述します。段階的に施策を実施する場合は、段階ごとに必要な期間やだいたいのスケジュールまで記述できると、読み手がイメージしやすくなります。

実施にあたり考えられるリスク

施策を実行する上で何らかの損失が発生するなど、リスクが生じる可能性がある場合は記述します。予算の超過やスケジュールの遅延などが懸念される場合もここで記述し、リスクを防ぐための施策や代替案があれば、併せて明記しておくことをお勧めします。

業務改善提案書を作成する流れ

業務改善提案書を作成する際は、大まかに次のような流れで進めます。

課題点の抽出

まずは課題点がどこにあるのかを明確にします。組織や部署、チーム内で改善すべき業務や効率化させたい業務が何かを言語化します。このとき、業務改善における「3M(ムリ・ムダ・ムラ)」の観点から、「無理な業務量やスケジュールが設定されているか」「無駄な業務があるか」「業務量や人件費にムラがあるか」など、各作業での課題を考えてみるのがお勧めです。品質管理や生産管理を行う業務の場合は「QCD」(Quality(品質)、Cost(費用)、Delivery(納期))の3つの観点から考えるのもお勧めです。

職種や業種によって課題点は異なるものの、どのような業務においても改善すべき課題や進めづらいと感じている点は可視化させることが重要です。最初から「課題点や改善策を考えなければいけない」と考えるのではなく、日頃感じている小さな不満やなんとなく面倒に感じている業務から課題や改善策を探ります。

改善策の考案

課題点が抽出できたら、改善策を考えます。1人ではなく複数人で考えることで、より多くのアイデアが導き出せます。例えば、「人の手作業によるミスが多い」という課題点がある場合は、「対象の作業をシステムで自動化し、ヒューマンエラーを回避する」という改善策が挙げられます。改善策が思いつかないときは、過去の事例や従業員の日報を参考にするのもお勧めです。改善策が複数思い浮かんだ場合は、すぐに実行できるものから予算が必要になるものなど、実行の移しやすさを基準に順番に記述します。

実行する際の手段の検討

改善策が考案できたら、実行に移すための手段を検討します。例えば、システムを導入するならば、どのようなシステムをどのぐらいの予算で導入するかなどを具体的に考えます。このとき、改善策を実行することで得られるメリットを意識しすぎるあまり、高額な予算やタイトなスケジュールを設定してしまうケースがありますが、現実的に実行可能な予算やスケジュール、リソースの設定を行うよう注意が必要です。

提案書の作成

最後に、提案書の作成に取り掛かります。課題点や改善策、実行する際の手段はそれぞれできるだけ数字を用いながら具体的に記述することで、読み手が改善のイメージを膨らませやすくなります。作成した業務改善提案書は、社内で共有し保管することで、今後同じように従業員が提案書を作成する際に活用できます。

業務改善提案書のテンプレート

ここでは、先述した記述項目や具体的な書き方の解説を踏まえた、業務改善提案書の例文をご紹介します。A4用紙1枚での作成に適したテンプレートとなりますので、ぜひご活用ください。

■タイトル、基本情報
タイトル:「〇〇業務の効率化による業務改善のご提案」
提案日:XXXX年XX月XX日
提案者:(名前・フルネーム)
対象部署:〇〇部 〇〇チーム
対象業務:〇〇業務

■改善提案の概要
この提案書は、〇〇部 〇〇チームで行っている〇〇業務を効率化し、業務改善を図ることを目的としています。改善策を実施することで、業務効率化による業務品質の安定化が期待でき、〇〇件のミスの削減が見込めます。

■現状
現在〇〇業務は、フルタイムのスタッフ3名による手作業で行っています。シートへ入力する項目数は1件あたり〇〇項目あり、1か月で〇〇件のミスが発生しています。また、手作業での入力のため1件あたり〇分かかり、1日の中で〇時間の作業時間が必要です。

■課題点
・手作業での入力は時間がかかる(1日〇時間)
・ヒューマンエラーによる入力ミスが発生する(1か月で平均〇〇件)
・入力済みのシートは他部門へ共有するため、ミスが発生することで他部門の業務にも影響が及ぶ

■改善策
上記の課題点を解決するために、次のような改善策を提案いたします。
・自動入力ツールの導入
〇〇業務における入力作業を自動化し、作業効率を向上させるだけでなく、手作業によるミスを減らす
・ツール導入に伴う研修
ツール導入時にスタッフへの研修を実施し、業務でのスムーズな活用を促します。

■改善策の実施により得られる効果
・入力ミスの減少
システムによる自動入力のため、手作業で生じていた〇〇件のミスを0件に改善できます。
また、〇時間かかっていた作業を自動化させるため、その分の時間で他業務に従事できるようになります。

■必要な費用やリソース
・ツール導入費
初期費用:〇万円
月額:〇万円
・研修(〇時間を想定)

■必要な期間
・ツールの比較検討:〇週間
・問い合わせ~ツールの導入:〇週間
・研修:〇時間
合計で〇か月ほどを想定しています。

■実施にあたり考えられるリスク
・ツールのオプション追加などによる予算超過
・入力シートのフォーマットを変更する必要がある

説得力のある業務改善提案書を作成するコツ

説得力のある業務改善提案書を作成するために押さえるべきコツは、次のとおりです。

読み手の立場に合わせて内容を記述する

提案書を作成するときは、読み手が誰であるかを意識して内容を記述します。例えば、経営層に提出する場合は、自身の業務の詳細や現場の状況まで深く把握していない可能性があるため、対象の業務はどのような体制で、どのような作業を行っているのかなどを詳しく説明することが重要です。また、誰が読んでも改善策を実行するのが必要であると感じられるよう、個人的な意見を述べるのではなく、客観的な視点から見た現状や課題、改善策を述べることを意識します。

主観を基に記述しない

業務改善提案書は、現場の担当者が発案することが好ましいとされていますが、主観的な内容になりすぎないよう注意が必要です。課題や改善策の実施によって得られる効果を述べる際は、読み手をはじめとしたどのメンバーが見ても同じ印象、同じ認識を持てるよう意識しながら記述します。

できるだけ数字を用いて記述する

現状や課題、改善策を伝える際は、「〇か月で〇件発生する」「〇人のリソースが必要」「退職率が〇%」「〇%の改善が見込める」など、具体的に数字を用いて表すことを心掛けます。正確な数値が判断できない場合は概算を記述し、数字を用いることで読み手が課題や改善策を具体的にイメージしやすくなるよう意識することが大切です。

実施の必要性をアピールする

現在抱えている課題が業務に影響を及ぼしており、早急に改善に取り組むべきだということが伝わる書き方を意識します。そのためにも、先述した数字を用いた記述や、改善策を実施することで得られる効果やメリットを客観的な視点から明確に示すことが大切です。

グラフなどを用いて内容を充実させる

読み手が提案書の内容をすぐに理解できるよう、簡潔に全体像を記述することも重要ですが、より説得力のある提案書を作成するためには各項目を網羅的に記述する必要があります。課題に関するデータやグラフを探したり、似たような事案の他社事例を引用したりするなど、提案内容をより充実させられる情報を盛り込むことで、読み手側も判断材料として活用できます。

最終的な目標を明確にする

提案書を通じて改善策を実行することで最終的にどのような状態を目指したいのか、ゴールを明確にすることが重要です。ゴールが明確になっていないまま提案書の作成を進めると、改善策を実行できたとしても中途半端に終わってしまったり、望んだかたちに改善しなかったりする場合があります。

資料作成ソフトウェアで作成する

業務改善提案書を作る際は、図形や表などが挿入でき、レイアウトの自由度が高い「Microsoft PowerPoint」「Keynote」「Canva」など、プレゼンテーション資料の作成によく使われるソフトウェアを利用するのがお勧めです。先述した内容のとおり用紙1枚のサイズで作成する以外にも、複数ページでのスライドショーを想定した資料を作成し、プレゼンテーション形式で提案する方法も有効です。

改善提案のネタの探し方

「改善提案の内容を考えようとしても、良いネタが思い浮かばない」というときには、例として次のような方法が挙げられます。

改善するテーマを決める

改善提案の内容を決める際は、事前にどのようなテーマで改善を提案するかを絞り込むのもお勧めです。例えば、品質の改善や納期遅延の改善、人件費の改善など、大まかなテーマに絞り、その中から「品質改善のためにシステムを導入する」「納期遅延を改善するためにスタッフを雇用する」などの具体的な提案内容を考えます。

過去事例や他部署の事例を参考にする

改善提案の内容が思い浮かばないときは、過去の事例や他部署の事例を参考にすることもお勧めです。これらの事例からアイデアをもらったり、同じ内容を提案に含めたりすることで、スムーズに提案内容が考えられます。過去の成功事例は、実際に社内で一度通った提案内容でもあるため、承認されることが期待できる点においても有効です。

何気ない不満や願望からアイデアを得る

普段仕事をするなかで感じる「この作業がもっと簡単にできたらいいのに」「ここがこうなればもっと楽に仕事ができるのに」という何気ない不満などが、改善策につながることもあります。多くのケースではそのまま受け入れて業務に取り組んでしまうものの、改善提案のアイデアに含むことで、自身や対象の部署の改善としてだけでなく、結果的に会社全体の業務改善につながる場合もあるため、何気ない不満や願望をピックアップすることもお勧めです。

従業員の日報をチェックする

従業員が提出する日報にも、改善提案のネタは隠れています。日報には日々の活動記録だけでなく、従業員がその日に感じたことなども記述されています。先述した何気ない不満や願望も見つかりやすいため、さまざまな従業員の日報をチェックする方法も有効です。

作業手順を書き出してみる

改善提案する課題が思い浮かばない場合は、普段の業務の進め方を書き出してみるのもお勧めです。箇条書きやフローチャートで業務の流れを可視化することで、「この作業は本当に必要か」「この作業は同時進行できるのではないか」といった課題を見つける手助けになる場合もあります。

まと

この記事では、業務改善提案書の概要や記述項目、作成のコツ、改善提案のネタの探し方などをご紹介しました。業務改善の提案を行うことで、結果的に会社全体での業務改善につながる場合もあります。提案書を作成するにあたっての大まかな流れは、業種や職種を問わずほぼ共通しているため、記事内でご紹介したテンプレートをぜひご活用ください。