顧客管理や営業DX・業務効率化など、企業の営業活動やマーケティング活動に役立つ情報を随時掲載しています。

Sky株式会社

公開日2024.02.15

OCR(光学的文字認識)とは? 仕組みや活用のメリット、注意点を解説

著者:Sky株式会社

OCR(光学的文字認識)とは? 仕組みや活用のメリット、注意点を解説

近年、働き方改革やDX、電子化に関する取り組みが活発化しています。中でも増えているのが、紙の文書を電子化してペーパーレスにしようという動きです。そのペーパーレス化において役立つ技術が「OCR(光学的文字認識) 」です。OCR という技術自体は以前から使われていますが、最近になって再び注目されるようになってきました。ただ、OCRという言葉は知っていても、具体的な意味や仕組みについて理解している方は少ないのではないでしょうか。この記事では、OCRの概要や仕組みのほか、OCRを活用するメリット、利用する際の注意点について解説します。

OCRとは画像内のテキストを文字データに変換する技術のこと

OCR とは、Optical Character Reader(またはRecognition)の頭文字を取った略称で、画像データの中にあるテキスト部分を認識して文字データに変換する「光学的文字認識」機能を指します。具体的には、「スキャナーなどで紙の文書を読み込み、そこに書かれている文字を認識してデジタル化する」といった場面で活躍する技術です。

紙に書かれている文字を読む場合、人間であれば特に意識することなく文字として認識できますが、コンピューターの場合、読み込んだ画像は小さな点の集合体でしかないため、画像の中のどの部分(点の集まり)が文字なのかを、人間のように認識することができません。そのため、紙に書かれた文字をデジタルデータ化したい場合、人間がそれを読み取ってテキストデータとして入力する作業が必要となります。しかし、わざわざ人間が読み取って入力する作業は手間も時間もかかり非効率です。そこで、画像の中から文字部分を抽出して認識し、テキストデータ化してくれるOCRが役に立ちます。

OCRを活用するメリット

OCRを活用すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。主なメリットを4つご紹介します。

データ入力の手間が削減できる

OCRには、データ入力の手間が削減できるというメリットがあります。紙に書かれた文字の入力を人間が手作業で行う場合、手間も時間もかかる上、長時間にわたって入力作業を続けていると、疲れによってミスが発生する確率が上がります。場合によっては、目視による2重チェックが必要になってしまうかもしれません。また、請求書や経費精算の処理などで月末や月初などに入力作業が集中してしまい、残業が増えてしまうことも少なくありません。

OCRを活用すれば、紙の文書をスキャンすることで文字を認識してデジタル化してくれるので、データ入力の手間が大きく削減できます。ただし、認識精度は100%ではないため確認作業は必要です。

情報の検索性が向上する

OCRを活用して紙に記載された情報をテキストデータ化すれば、情報の検索性が向上する点もメリットです。紙ベースで情報を管理している場合、過去の文書からキーワードや日付などから特定の情報を見つけるには、目視で書類の中身を一つひとつ確認して探し出さなければなりません。書類をスキャナーで読み取って画像ファイルとして保存するという方法もありますが、直接見て探さなければわからないという点では紙と同じで、検索性は低いといえます。

OCRを活用すれば、文書の内容をテキストデータに変換できるため、キーワード指定などで検索が可能になります。複数の条件を掛け合わせて検索すれば、必要な情報をスピーディーに抽出することが可能です。また、文章をデータ化する際、画像ではなくテキスト化することでデータ容量の削減にもつながります。

ペーパーレス化を促進できる

OCR活用のメリットとして「ペーパーレス化を促進できる」という点が挙げられます。ビジネスシーンでは、さまざまな種類の文書が存在します。例えば、請求書や契約書といった企業間で取引する際の文書や、稟議書や企画書といった社内で使われる文書が代表的です。ただ、これらの文書の中には、税法や会社法などの法律によって数年単位で保存期間が定められているものも少なくありません。もし紙ベースで管理していると文書が増え続けるため、専用の保管スペースが必要になります。

OCRを活用して紙の文書を電子化すれば、ペーパーレス化を促進できます。その結果、文書を保管するためのスペースと管理コストの削減につながります。さらに、経年劣化によって紙が破損したり汚損したりするリスクも回避できます。

業務へのデータ活用が進む

OCRを使うことで、業務でのデータ活用が進むこともメリットの一つです。紙ベースでの保管では、先述した検索性の低さのほか、集計や分析などでも情報を活用することが難しくなります。しかし、OCRによって文書をデータ化すれば「情報資産」として扱いやすくなり、データ分析の幅が大きく広がります。これまでは発見できなかった課題や問題点、業務改善していくためのヒントが見つかるかもしれません。また、データであればスピーディーに情報共有ができるため、組織全体でデータを活用促進することができます。

OCRの仕組み

OCRは、画素(ピクセル)と呼ばれる小さな点の集合体でしかない画像データから、どのように文字を抽出・認識してテキストデータ化しているのでしょうか。OCRの仕組みをご紹介します。

一般的なOCRの仕組み

スキャナーやデジタルカメラなどで画像データとして取り込んだ後、主に次のような流れでテキストデータを抽出します。

OCRによるテキストデータ抽出の流れ

  • 書類や名刺のエッジを検出して「傾き補正」をします。
  • 画像内の画素を白と黒の2値に分けて認識しやすくして「レイアウト解析」を行い、文字部分を矩形領域として切り出します。
  • さらに1文字ずつに切り出します。
  • 切り出した文字を特徴抽出などの技術を使って解析して「文字認識」 を行い、テキストデータ化します。
  • さらに「知識処理」と呼ばれる処理でデータを補完します。

知識処理とは、例えば「東京都」という文字列の「京」の文字が正しく認識できず「東■都」という文字列になってしまった場合、■部分には「京」という文字が入るべきだと推定して補完する処理です。

名刺の場合、認識精度が一定ではないという課題がある

OCRを使った文字認識によってテキストデータ化することで、手作業で情報を入力する手間が軽減できます。しかし、問題は認識の精度です。見積書や請求書のように一定の様式が決まっている書類であれば、ある程度の高い認識精度を実現できますが、名刺のようにロゴやイラスト、写真といった文字以外の要素が含まれ、レイアウトがまちまちのものの場合は、その精度が一定ではないという課題があります。

特にメールアドレスなどは、1文字違うだけで使えない情報となってしまうため、OCRを利用した名刺管理ツールを利用する場合、名前や会社名、メールアドレスなどの情報が正しく入力されているかを確認する必要があります。

法人向けサービスでは、オペレーターによる確認と併せて精度を担保

法人が名刺管理を行う目的は、単なる連絡先の管理や社内の情報共有だけではありません。メールマガジン配信やDM送付、SFAやCRMでの活用など、さまざまなマーケティング活動の基礎となる情報として使用されます。そのため、法人向けの名刺管理ツールの多くは、ユーザーが取り込んだ名刺の画像をOCRでデータ化した上で、オペレーターが画像と入力されたデータを突き合わせて確認、修正を行うことで精度を担保しています。

AI-OCRの導入でさらに精度向上と効率化を実現

OCRの精度が低下する要因の一つに、レイアウト解析の際、文字が背景と同化するなどして文字領域が正しく認識できないという問題があります。AI・画像認識技術を用いたAI-OCRでは、文字領域の認識精度を高めることができ、精度の向上が期待できます。さらに、データベースへ登録する際にもAIを用いることで、文字列のパターンを学習し、混同しやすい会社名や部署名称、役職なども、正しく割り振って登録することができるようになります。

OCRで名刺をデータベース化するメリット

従来の名刺管理は、交換した名刺をファイルやホルダーなどに入れて保管する形が一般的でした。ただ、紙ベースで名刺を取り扱うのは管理が大変です。また、社内で名刺情報を共有しづらいというデメリットもあります。そこで、近年では、名刺を名刺管理ツールなどでデータベース化する企業が増えてきました。

名刺管理ツールは、OCRで名刺の情報をテキストデータに変換して管理するツールです。代表的なツールとして、営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE(スカイピース)」があります。「SKYPCE」はOCRを用いて名刺情報をテキストデータにし、データベースに登録して組織として管理できるようにするためのサービスです。「SKYPCE」の利用を例に、OCRで名刺をデータベース化するメリットを3つご紹介します。

必要な名刺情報の検索が可能になる

「SKYPCE」を導入し、OCRを用いて名刺情報をデータベースに登録することで、必要な名刺情報をすぐに検索できるようになります。紙の名刺を保管している場合、名刺を探し出すだけでも手間がかかりますが、データベース化しておけば、企業名や担当者名、役職などで検索して、必要な情報をスムーズに見つけることが可能です。

名刺情報を簡単に社内で共有できる

「SKYPCE」を導入し、OCRを用いて名刺情報をデータベースに登録することで、名刺情報が社内で共有できます。紙の名刺の場合、情報を得るためには名刺を持っている人から共有してもらう必要があります。そもそも、目当ての名刺が社内に存在しているかどうかもわかりません。名刺をデータベース化して共有すれば、いつでも情報共有できるようになります。

名刺情報を活用して営業活動に生かせる

「SKYPCE」を導入し、OCRを用いて名刺情報をデータベースに登録することで、営業活動にも生かせます。なぜなら、名刺情報を一元管理することで社内の情報共有が進み、社内人脈を活用したアプローチができるようになるからです。例えば、社内の誰かが以前に営業先担当者と名刺を交換して登録していれば、その情報をほかの部署の従業員が活用して、新たなアプローチをすることができるなど、営業活動の効率化につながります。

OCRを利用する際の注意点

OCRは、ひらがなやカタカナ、漢字、数字、アルファベット、記号など、一般的な文字であれば読み取れます。ただし、すべてのケースで100%の精度で認識できるわけではありません。OCRの文字認識率は、読み取るものの内容によって左右されます。名刺のケースの課題は前述したとおりですが、一般的な書類の場合もグラフや図など文字情報以外の要素が含まれる場合も同様です。特にグラフに添えられた文字などでは、文字との引き出し線が区別しにくく精度が下がるケースがあります。また、「手書きの文字」「スキャン時に書類が傾いた」といったケースも、OCRの読み取り精度に影響が出ます。OCRの認識率を上げたいときは、「適切な解像度で取り込む」「カラー原稿はモノクロに変換して取り込む」といった工夫をしてみてください。

「SKYPCE(スカイピース)」でOCRを活用して名刺管理をより効率的に

OCRを活用すれば、「データ入力の手間の削減」「データの検索性向上」「ペーパーレス化の促進」といったメリットが得られます。具体例として、紙の名刺をOCRでスキャンしてテキストデータにすることで、名刺情報のデータベース化が容易になり、一元管理が可能になります。ただし、OCRの読み取り精度には技術的な限界があり、名刺の文字を100%正確に認識できるとは限りません。そこでお勧めなのが、営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE(スカイピース)」です。

「SKYPCE」では、OCRに加えてオペレーターによる目視でのチェックや入力補正をしているため、データの正確性が担保されています。そのため、正確にデータ化した顧客情報をスムーズに社内共有でき、豊富な条件設定で名刺を素早く検索することも可能です。さらに、顧客にメールを一斉送信できる機能や、日々の営業活動を記録する機能など、営業支援のための機能も充実しており、営業活動の効率化に役立ちます。OCRを活用して名刺管理をより効率的に行いたいと考えている方は、名刺管理サービス「SKYPCE」をご検討ください。